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生誕半年記念祝賀会

 始まった私の生誕半年記念祝賀会。

 オルクスの家臣を始めとして様々な種族の族長も魔王の娘である私を祝う。

 っていうのは建前だよねー!

 権力やら出世に興味の無い種族の族長はともかくとして、野心家な種族の族長はものすごい媚びを売ってくる。

 あわよくば私を介してオルクスに近づきたいのが見え見え。

 特に性別的な女性と、その関係者な!

 お小さい私には母親の愛情が必要だぁ? いらんわ!

 専属メイドや専属護衛騎士、とどめにオルクスからの溺愛でむしろ過多だよ!

 下心満載の母親なんざお断りだ!

 しかし、今回はオルクスが色んな族長に「ペオニアシ国の高等学院に留学してもおかしくない見た目で優秀な者を連れてくるように」なんて伝令したから、いつもより参加者が多い。

 いや、正確には多かった。


「パパ、あの大きな魔道具はなぁに?」


 引きつった笑みを浮かべて尋ねる。

 各族長が連れて来た『優秀』な者が、見た事の無い魔道具に触れた瞬間ふらつく、で済めばいいのだが大半が気絶した。


「私やライラの部屋に結界を張っている魔道具と同じ物だ。敵意や邪心、そもそも弱い者は弾かれる」


 あんなの部屋にないけど!?


「陛下、説明不足ですよ。あれは専属メイドや従者、専属護衛騎士の採用試験に使われるものではありませんか。小型化した最新の魔道具と一緒にしないでください」


 ネルガルの説明に引きつった笑みが一周回って消えてしまう。

 確かに私と一緒にペオニアシ国の高等学院に行くとか、専属従者やメイドにするとか言ってたけど、教育はこれからするんじゃないっけ?


「見込みがあるのは七人か。思いのほか少ないな……魔族の質が落ちているのか?」

「今回の条件である外見年齢の問題では?」

「ふむ……あの七人をこちらに」


 オルクスの指示で使用人に呼ばれた七人がこちらに近づいてきて、三人が顔を引きつらせて足を止めて二人が気絶した。

 な に が あ っ た ?

 残った二人は首を傾げながらもう一歩踏み出そうとして、オルクスの専属護衛騎士に止められた。


「男が二人に……そこの龍人族の者、お前は女か?」

「私は雌雄同体でございます。普段はこのように女の姿で過ごしております、陛下」

「……ライラを含め男女比としては丁度いいか? もう一人女が居ても良かったが、不出来な者をライラの傍に置くわけにもいかないな」


 オルクスはそういうと自分の意思で足を止めた三人を見る。


「そなた達、名を名乗る事を許す」


 その言葉に、一瞬視線を交わした三人だけれども、まず黒髪の人がその場で頭を下げた。


「わたしは吸血鬼族のヴァンス=ノクチアと申します」

「オレは天狗族のイオリ=クシャーダです」


 ヴァンスさんに続いて、緑の髪の人が頭を下げて名乗ると、残っている金髪の女の人が頭を下げる。


「私は龍人族のノーマ=ドラコニアでございます」


 なんとなく、三人とも育ちがいいんだなって思える仕草だよね。

 綺麗なお辞儀は見てるとこっちも背筋が伸びる。


「そなた達は本日よりライラの専属として教育を受けるように」


 はい、説明不足! いきなりこんな事言われてもこの人たちも困るでしょ。


「「「かしこまりました」」」


 簡単にかしこまるなよ。少しは戸惑ってよ。


「陛下、発言をお許し願えますか?」

「いいだろう」

「私共の前にある結界魔法を解除していただきたく存じます」


 ノーマさんの言葉に、残りの二人も頭を下げたままだけど同意見っぽい。

 そんなの仕掛けてあるんだ。まったくわからん。


「……ちなみに、効果は何だと思う」

「一歩でも踏み込めばひき肉どころか存在が消失するかと存じます」


 ナニソレコワイ。


「他の者も同意見か?」

「わたしは、効果については同意見ですが、この結界は魔法ではなく陛下の殺気によるものと判断しております」

「オレは二人のように具体的な事はわかりませんが、命に関わるのはわかります」

「天狗族の者に関しては及第点ぎりぎりだな。とはいえ、何も分からずに進もうとしたり、気絶した者よりはましか」


 名乗って来たんだから名前で呼んであげようよ!

 あと判定基準が私にはわからない!


「えっと、ヴァンスさんとノーマさんと、イオリさんが私の専属になるっていうことなんだよね?」

「ライラ、敬称を付ける必要はない。お前は私の娘だ、この国において私以外はすべてお前より身分は低いのだからな」

「え、でも……」

「それに、お前の使用人になるのだ。呼び捨てでかまわない」

「あ、はい」


 確かに専属護衛騎士とか専属メイド、他の使用人の事は呼び捨てにしてるもんね。

 最初は「さん」を付けてたけどオルクスに必要ないって言われた上に、全員が顔色を悪くして「呼び捨ててください」って言って来たし。

 各種族の族長の名前も知ってるけど、名前で呼んだことないわ。

 大臣とかは〇〇大臣って言うし……あれ、私って名乗られてるのにものすごく失礼なことしてない?


「姫様、魔族にとって陛下に名前を呼ばれることは信頼の証や、近しいと認められた証なのです。陛下の娘である姫様も同じことが言えます」


 ナムタルの言葉に思わずポカーンとしてしまう。

 それでいくと、名前を呼ばれていたレヴァール国王は信頼されているって事?


「姫様、魔族の常識が人間と同じではないのです」

「そうなんだ」


 なんで考えていることが分かるんですかね?

 魔力を繋げているオルクスならともかくナムタルはなんでわかるの?


「お顔に出ていますよ。今後の教育で思考を読ませない訓練も致しましょうね」

「……はい」


 そんなにわかりやすいのか、私。


「さっそく今日から城に住むことを許可する。城に滞在するにあたり、持ち込みたいものは後程運ばせるように」


 よく知らないけど引っ越しってそんな簡単なものじゃないよね?

 私だって前世で入院する時は色々準備とか荷物が大変だった。

 この城の客室が豪華なのは知ってるけど、わかりましたってすぐに出来る物じゃないと思うんだけど。


「「「かしこまりました」」」


 だからあっさりかしこまるなよ。


「姫様、住み込みの使用人には専用の部屋が用意され、制服の支給もございます。私服は準備する必要がありますが、職務を全うするにあたり取り急ぎ日常生活に不足するということはありません」

「そうなんだぁ」


 そういえば前世で呼んだ本とか漫画で、使用人の部屋は相部屋とか質素な部屋だったような。


「姫様専属ともなれば上位使用人になりますので、部屋は個室となります。上位使用人の世話をする下位使用人も付けられることになりますよ」

「そうなんだぁ」


 思いっきり思考を読まれまくってるね。怖いね。

 これが、一流メイドのスキルなのか。


「確かに主人の思考を読むのは必須スキルですが、姫様が分かりやすいだけです」


 ナムタルが容赦なさすぎてつらい。


「安心しろライラ、一流の教師を付けるからな。ライラならすぐに立派な淑女になれる」

「その謎の信頼もつらい」


 むしろ、これからの教育がどんなものなのか想像できなくて怖い。

 前世で読んだ本によると、淑女教育とはそれはもう厳しくて胃に穴が開くような……ん? あれは王妃教育だっけか?

 とにかく、険しい道のりであることに間違いないよね。

 自分で言いだしておいてなんだけど、考えただけでつらい。

 前世でも病院生活が殆どで対人スキルとか皆無だし。


「淑女教育以外にも、姫様には魔力操作もお勉強していただかなくてはいけませんね」

「そうだな。本気でペオニアシ国の高等学院に通いたいのなら、その外見年齢を変える必要があるからな」


 そう言えばそうだった。


「とはいえ、今のまま過ごしていれば外見年齢を操作するぐらいはすぐに出来るだろう」

「どういうこと?」


 オルクスの言葉に聞き返してみるけど答える気はなさそう。

よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。

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