[No.98] 川で遊んでいた少年ら カッパに尻子玉を詰められる
6日、《ジレッヴィ村》で〝カッパ〟による尻子玉の詰め入れ事案が発生した。被害にあったのは同村内に暮らす10歳~12歳の、いずれも少年ら、四名で。村近くの川で釣りや水浴びを行って遊んでいた際、水中から出現した複数体のカッパたちに見つかり、運悪く絡まれてしまったとみられている。
川に棲息するこのカッパは、背丈が子供ほどのため〝河童〟とも呼ばれ、妖精と魔物の中間的な存在だ。
黄色いくちばし形状の口、頭頂部にのった皿が特徴的で。手足の指の間には水かきが付き、背中には亀じみた甲羅も見受けられる。根は臆病で、人間の大人を見ればたちどころに水中へと姿をくらます。ただ、事例は比較的多くはないが婦女子を孕ませることもあり、緑色の体がゴブリンと似ていることから〝リヴァー・ゴブリン〟などとも称され、角は無いものの分類上は鬼種族として扱われている。
大人は苦手としているカッパなのであるが、相手が子供と見るや、途端にイキリ出す。
「オイッ! 目ガ合ッタナ、勝負シロ!」
と、片言の人語で因縁をつけて絡んでくるのだ。
勝負とは、彼らが特技とする〝相撲〟という力比べである。円陣の中で、一対一で取っ組み合い、相手を円陣の外へ押し出すか、地面に体の一部を着かせるかしたほうの勝ち、という単純な競技。
この相撲競技に勝つことができたならば、カッパたちは、「ケッ! 今日ノ、トコロハ、見逃シテヤル!」と捨て台詞を吐いて水の中戻っていき、無事に済むのである。だが、負ければ災難。
敗者には〝尻子玉〟が贈呈されてしまうからだ。
これはカッパの体内で生成される純白の胃石のことである。直径約5センチほどの真球体だ。命名されてある由来と、贈り込められる部位は、字面からおわかりだろう。
『子供の尻に詰め入れられる玉』という意味で『尻子玉』。
カッパたちは相撲で勝利すると、敗れた子供をひっとらえ、親が子の尻を叩くときのようにしてズボンを下げ、口から吐き出した尻子玉を、「そんなの入りっこないって!」といくら必死に訴え掛けられようが構わず、肛門から直腸へとムリムリ詰め入れてしまうのである。この悪戯を働かれると、最悪の場合には、糞づまりを起こし、腹痛のすえに悶死してしまう。
さいわい、今回ジレッヴィ村で被害にあった少年たちは、カッパたちから敗者の印を押し込められたあと、すぐに村まで引き返し、家族に被害を訴えたため、大事には至らなかった。村医者から処方された特化浣腸薬を使用し、腸内で幅を利かせていた尻子玉をとどこおりなく溶解排出させ、あとにはキレ痔が残るくらいで済んだとのことである。