[No.95] 【広告】尋ね人 最愛の娘、ブレンダちゃんへ
ブレンダちゃん、先日のあなたの投稿、お父さんとお母さんはふたりそろって泡を吹き吹き読みました。おおいに肝を潰しました。将来帝国軍人になるべくして生を受けたあなたが、マッチを売っていようとは、たとえ嘘であれ、悪夢にだって思いませんでしたよ……。
1箱30コバーンそこそこしかしないマッチ箱なぞを売っていて、どうやって生計が立つというのです。大人をからかうのではありません。マッチ売りは小さな子供がお小遣い稼ぎにするものですよ。それも親に恵まれなかった貧しい子がするものです。あなたはそうではないでしょう?
ほんとうは何のアルバイトをしているのですか。水商売などと破廉恥な仕事には手を染めていないでしょうね?
……その話はこの際おいておきます。
ブレンダちゃん、今ならまだ間に合います。
大至急帰宅してください!
剣術学校のことは心配する必要はありません。籍は置いてあります。まだ休学扱いになっていますから、いつでも戻れるのです。授業の遅れも、あなたなら挽回できます。やはり新調したショート・ソードが中古だったことが気に入らなかったのでしょう。いいえ、そもそもあなたの素質は剣士向けではないのかもしれません。
ブレンダちゃんの誕生日も近いことですし、お父さんとお母さんは奮発しましたよ。
新品の〝戦闘用斧〟を購入しました!
剣士が嫌なら斧士になればいいだけの話です。学校のクラス替えも済ませてありますからね。あとはブレンダちゃんが無事に帰ってくるだけでいいのです。あなたを迎えに一度《某市》というところまで行こうとしましたが、聞けば《某市》などという都市は存在していないという話ではありませんか。いったいどこに居るのですか……?
どうか《ナーダム村》に帰ってきてください。
――父母より
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