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[No.94] 【読者の集い】愛煙家のドワーフに万歳!!

 ♀ ギーゼラ 50歳(グベアモータ市・たばこ屋)


 あたしゃ心底ホッとしてるよ。

 何について言ってるのかは、職業を見ればすぐにわかるだろう?

 〝禁煙令〟なんていう馬鹿げた法令が撤廃(てっぱい)になって、つくづく嬉しいよ。

 禁止となれば、たばこ屋はおしまい。死活問題さね。

 ほんと涙がちょちょぎれたよ、あたしゃ。

 煙草を買いに来てくれる常連さんと抱き合って喜んじまったんだから。


 その常連さんたちから(うわさ)に聞いたんだけどねえ、今回の発令だ廃令だのってごだごだには、裏があったって話じゃないかい。


 皇太子(こうたいし)殿下(でんか)が大の嫌煙家だってことは、帝国国民なら百も承知だろう? 


 禁煙令はその皇太子殿下の(つる)一声(ひとこえ)で発令されたものなんだってねぇ。


 魔王が持ち込んだことにしてしまって、有無(うむ)を言わさずに取り上げようって算段だったとか。それを聞いたときにはもう呆れて心臓が止まっちまうかと思ったよ。いくら自分が嫌だからって、そこまでしちまうものかってね。


 魔王を持ち出されたとあっちゃ、あたしら小市民は反発なんて出来やしないからねぇ。異議を唱えれば人類反逆罪とかなんとかで、しょっぴかれちまうだろう?


 けどさ、〝ドワーフ〟たちが猛反発の声を挙げてくれたらしいんだよ。


「煙草を提供しないなら、もうお前たち人間に武器は作らないぞ!」

 

 そんなことを言ったかどうかはわからないけど、頼もしいじゃないかい!


 なんでも、帝国軍の使ってる装備品の大半が、ドワーフ製なんだってねぇ。ミスチルだかミスリルだかっていう金属でできてて、それを加工するのは人間には無理で、ドワーフにしかできないとかなんとか。で、連中に気分を(そこ)ねられるわけにはいかないってことなんだってさ。それで軍部のお偉いさん方が泡を食って、皇太子殿下をどうにかなだめて、即時撤廃に持っていった、って話なんだってねえ。


 ドワーフ連中が愛煙家で、あたしの命は救われたわけだ。


 今までは、人外のくせに帝都の地下に住むことを許されているなんてどういうわけだ!、なんて思ってたけど、あたしゃ見直したよ。


 ドワーフ万歳!

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