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[No.89] ソシャ盤で、シャイな精霊との契約交渉に挑もう

 精霊には、人間が使用できる魔法を大きく上回(うわまわ)る力を(ゆう)するものや、通常扱うことのできない別種(べっしゅ)の魔法を意のままに操れるものがいる。私たちは困難を解決する手段として、彼らに援助を願い出ることがあるが。その際、面倒になるのは〝契約(けいやく)〟を結ぶ手間だろう。


 召喚魔法士(サモナー)による呪文や、ゼロ能力者でも行える〝()()けの()〟によってホイホイ出て来てくれるような精霊ならまだ良い。出不精でぶしょうが基本生態の彼らでは(まれ)な部類だ。たいていは人に姿を見られることを極端に嫌っているものが多く。そして、なかには声を聞かれることさえ嫌がる精霊もいる。


 たとえ姿が見えずとも彼らからの声が届けられれば、会話によって契約交渉は問題なくおこなえる。だが、こちらが呼びかけても向こうからの声が返ってこないとなると、意思疎通がはかれず、どうしようもなくなる。


 そんな音声通話NGの面倒くさい精霊向けに考案されたアイテムが〝ソシャ(ばん)〟だ。正式名称を〝精霊(せいれい)無声(むせい)社交(しゃこう)(ばん)(スピリチュアル・サイレント・ソーシャル・ボード)〟といい。精霊側が、その声を発しなくても人と交信できるように設計されている。


 ソシャ盤の構成パーツは、横長の四角い盤(ボード)と、その上に載せ置かれる矢じり型の石板(ホールポインター)の二つ。


 四角形のボード面には表音文字列や数字などが刻印されており。対して、矢じり型石板には丸穴が()いている。このポインターを盤上に置いて動かせば、周りの文字は覆い隠され、丸穴の空いているところにある一文字だけが切り出されて見える。ポインターを順々にずらして文字をひとつずつ拾っていくことで、単語や文章が形成される仕組みだ。


 つまり、精霊が持つ『念動力(ねんどうりょく)』を利用するのである。


 呼びかける側の人間は口頭で、応える側の精霊は念動力でポインターを動かして盤面をなぞる。

 この方法ならば、精霊は声を聞かれることなく済む。

 今まで誰かが思いつきそうで思いつかなかった画期的な交信手法なのだ。


 これで会話すらままならなかった精霊との交渉にこぎつけることができるかもしれない。

 ただし、契約が成立するかどうかは、また別問題である……。


 ちなみにこのソシャ盤は、とくに魔力が込めらてあるわけではない。一般素材アイテムのため、ボードに使われるトルネコの木と、ポインターに使われる御影石みかげいしを入手できれば、自作のDIY盤をつくることが十分可能だ。

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▼〝呼び掛けの儀〟が行われるエピソード

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