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[No.86] スカイフィッシュの名称が変更へ 理由「実像との不一致」

 かねてから「名前がまぎらわしい」「(たい)を成していない」「意味不明だ」と悪名高かった〝スカイフィッシュ〟の名称が、帝都で行われた有識者会議により、正式に変更されることが決まった。


 スカイフィッシュとは、麦などの穀物の収穫時期になるとトンボにまざってよく飛び回っている昆虫生物である。その外見もトンボとそっくり。まっすぐな細いトンボの体を、4~5連結したトンボくらいにまで引き伸ばして、半透明な羽の枚数も同様に増やした具合である。頭部にある目も、トンボと同形状の複眼(ふくがん)。異なっているのは、クワガタムシのように突き出した二本の顎角あごづのくらいなもの。


 それで何故、〝空飛ぶ魚(スカイフィッシュ)〟という名がつけられてしまっていたのだろうか……。その由来(ゆらい)は多くの謎に包まれているが、この度の名称変更により、竹棒を手にした少年たちから「魚じゃねぇだろ、トンボだろ!?」というツッコミまじりに叩き落されることは無くなりそうである。


 新名称の候補としては、『連結トンボモドキ』『多羽(たばね)トンボ』『シリアルトンボ』『トンボディレイ』などが会議で挙げられもしたが、最終的に、〝ムカデトンボ〟にすることが決定された。これは、「長細(ながぼそ)の胴体、たくさんある羽がムカデの足のようで、口から出ている顎角もそれっぽい」という至極(しごく)まっとうな外見的特徴から、一部地域で広まっていた俗称をそのまま正式採用したかたちだ。


 また、魔物の名としても使用されている『ムカデ』という言葉がつくことで、心理的な()()感を刺激し、子供による無闇やたらな殺生(せっしょう)を避ける狙いも込められている。


 余談になるが、トンボもかつては〝ドラゴンフライ〟と命名されてあった。しかしそれがいつの頃からか、「なんでドラゴンなんだ!?」「どこにドラゴン要素がある!?」「帝国の象徴たるドラゴンの名を(かん)しているなどおこがましい!!」と批判が殺到し、その名称が〝飛ぶ棒(トンボ)〟に変更された過去をもつ。

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