[No.8] 【お悩み相談】誰にも言えないボクの悩み……
♂ ジョゼフ 12歳(デゼルト高原・羊飼い)
ボクにはどうしても周りの人に相談できない悩み事があります。
このごろ夜になるとボクの部屋に女の人がやってくるのです。とても綺麗なお姉さんで、肌は透き通りそうなほど白く、髪の毛は黒くて足元まで届きそうなほどたいへん長いです。ボクがベッドに入ってうとうとしていると、いつのまにか部屋の中に入り込んでいます。
お姉さんはいつも服を着ていません。ボクの上に乗っかって口ではとても言えないようなことをしてきます。どうしてボクの服を脱がすのか、体の上でぴょんぴょん飛び跳ねるのか、正直よくわかりません。ただ、そうされているうちにボクはすごく気持ちが良くなって眠ってしまいます。そして朝に目が覚めたときには部屋からいなくなっているのです。
イケナイことをしている――されているのだということは、なんとなくわかります。気持ちが良くなった直後には罪悪感のようなものが胸に芽生えるからです。
最初のうちはお姉さんがやってくると、やめてください、と抵抗していました。でもそういうときには決まってボクの顔に息を吹きかけてくるのです。人の口から吐き出されているとは思えないほど甘く、果実のような匂いのする息です。その匂いを嗅ぐと頭がとろんとしてきてもう何も考えられなくなってしまい、なされるがままにされてしまいます。
今では抗うことはやめてしまいました。そればかりか、お姉さんが来ることを待ち望んでいる気さえします。羊飼いの仕事をしているときにもお姉さんの顔が頭に浮かんできて、食事もろくに喉を通りません。イケナイとは思っていても、ダメなのです。
ボクはいったいどうしたらいいでしょう?
■■■ (回答) ■■■
勇気を出して今すぐご両親に相談しましょう。大丈夫です、ジョゼフくんが叱られる心配はありません。心配なのは毎夜の秘め事が継続してしまうことにあります。
その〝お姉さん〟は、人間ではありません。〝サキュバス〟という名の魔物です。詳しい説明は割愛しますが、男性の生気を吸い上げて奪い取ってしまう悪者なのです。
このままの状態が続けば、ジョゼフくんは憔悴しきって死んでしまいます。だから早急に策を講じる必要があるのです。最寄りのハンターギルドの施設を訪ね、精力を持て余していそうな女性ハンターを派遣してもらい、ぎったんぎったんのメッタメタに退治してもらうのが望ましいでしょう。
本来、サキュバスが狙うのは青年男性が主ですが、中には〝ショタ喰い〟と呼ばれる特性のものも存在します。ジョセフくんの年齢を鑑みると、夜な夜な現れているのは、それのようですね。