[No.61] 不審者出没情報
不審な若い男による子供に対しての問いかけ事案が発生した、との情報が寄せられましたので、以下に掲載し、注意喚起をおこないます。該当する者を見た、なにか情報をお持ちの方は、当該地域の自警団までお知らせください。
自警団は見回りの強化などの対策に努める方針です。また、親御さんは、子供を現場にはしばらく近づけないようにお願いします。
情報を精査するに、海に潜む魔物が人間に化けている可能性が十分考えられます。くれぐれもご用心を。
◯
[発生日時]
先月下旬頃の日中
[地域]
ピラジシュト港
[現場詳細]
漁村付近。海岸からほど近い、森の中の泉。
[不審者の特徴]
外見は、人間の男。年層は、十代半ばから後半の少年。服装は、白いシャツ、黒いズボン。体型は痩せ型。髪の毛は、短髪黒色。瞳の色は、濃い茶色。身長160センチ~170センチ。
女児の証言によると、肌の色は黄色味がかっており、顔立ちは平面的で、人間に見えるが普段目にする人たちとは雰囲気が異なり、奇妙な違和感を覚えた、とのこと。
[状況概要]
漁村に暮らす女児(10)が水くみのため、ひとりで泉を訪れていた。桶で水をすくっていたところ、後方から声をかけてきた者がいた。振り返ると、その不審者の男が、全身ずぶ濡れの状態で立っていた。「ここは一体どこなの?」と尋ねられたため、女児は現在地を告げ、いくつか言葉をかわした。すると男はとても驚き、頭を抱えてぶつぶつ独り言を唱えはじめた。
全身がびしょ濡れのうえ、言動も怪しい。不審感を抱いた女児は、ひっそりとその場から離れようとした。だが、取り乱した様子の男に行く手を阻まれてしまった。
「ここはニホンでしょ!? トーキョーでしょ!? ネリマだよね!?」
質問攻めにしてくる男は流暢な人語を喋っていたが、よくわからない単語が多数混じってもいた。なかでも、『ニホン』という言葉を何度もくりかえした。女児は戸惑いつつも、一本二本三本……と棒状の物を数えるときに使う『ニホン』のことか?、と尋ね返せば、「違う!」と男は声を荒らげて激昂した。
女児はいよいよ怖くなった。この人は、危ない人に違いない。いや、そもそも人間ではないかもしれないと思った。怖い顔で詰めよる男からは、磯の匂いがプンプン漂ってくる。もしかしたら、海に棲んでいる魔物が人間に変身し、自分に問いかけ行為をおこなっているのかもしれない。答えられない場合に連れ去って食べられてしまうのかもしれない。
質問に正解しなければと女児は必死になったが、ついには恐怖に耐えかね、金切り声を上げて叫んでしまった。しかし、それが功を奏したようで。びっくりしたのか、男は慌てふためいたあと、森の中へ逃げるように駆けて行った。
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