[No.57] 【広告】ぼくの犬をほしい人にあげる。
ぼくの名前はケビン。9歳。《オピドキッカ町》に住んでる。でも、もうすぐ《リパーフート市》に引っこす。こんど住む家はアパートと呼ばれるところ。ぼくが飼っている犬をつれていけないらしい。だから、ぼくの犬をほしい人にあげる。
ぼくの犬、シロをしょうかいする。
一年前、公園の砂場であそんでいたとき、砂の中から出てきたのをひろった。一つの体に頭が三つある。犬の図鑑にのってないから、たぶん雑種だ。毛は真っ黒だけど、犬を飼うときには名前はシロがいいって決めてたから、シロにした。ひっくり返すとタマタマがついてるからオスに違いない。
シロはひろったとき、手のひらにのる大きさだったけど、一年でぼくと同じ身長になった。たぶんもう大きくならないと思うけどわからない。お父さんとお母さんは、さいしょは飼うのをすごく嫌がってたけど、家に入ったドロボウをシロが食べてからは、番犬にぴったりだ、と喜ぶようになった。だから番犬として飼う人がいいと思う。シロの頭は、寝るときはいつも交代で寝るから、かならず起きてる頭がいる。見張り番にはぴったりなのだ。
シロはおりこうさんで、お手も、ふせも、チンチンもできるし、口から火をふく芸だってできる。ごはんは生き物の死体なら好き嫌いしないでなんでも食べる。甘いものも大好きだ。子守歌を唄うとすぐに眠るから、ガオガオ吠えるときにはそうしたほうがいい。
大事に飼ってくれる人は、広告を見たら、ぼくの家まで取りに来てほしい。くわしい飼い方を教える。ぼくの言うことはなんでも聞いてくれるから、きっと食べられる心配はないと思う。