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[No.103] 帝都円形闘技場(コロシアム)の修復工事完了 闘技会の復古へ

 長年に渡る帝都円形闘技場(通称:コロシアム)の修復工事が完了したことを、帝国軍が12日に発表した。これにより、過去の遺物(いぶつ)として外観見物の名所と成り果ててしまっていた前世紀の大建造物が、本来の役割を取り戻し、『闘技(とうぎ)を見世物とする観衆に娯楽を提供する場』として生まれ変わることになる。


 コロシアムは、『殺し合いコロシアイ』と『劇場テアトルム』の合成語からなっているように、剣闘士グラディエーター魔闘士ベネフィエーターたちによる命を()した〝実戦形式闘技会バトルロイヤル〟が、古くから(さか)んに(もよお)されていた娯楽施設だった。


 だが、由緒(ゆいしょ)あるその歴史も、魔王軍の侵攻によって勃発(ぼっぱつ)した人魔大戦の混乱期から現在にいたるまでずっと閉ざされたままになっていた。


 原因は、さきの大戦で劣悪化したコロシアムの状態にある。


 (とりで)などを建築するための石材が不足し、コロシアムの外壁がやむおえず流用されて、外観が崩れかけの見た目になっただけでなく。肝心の内部のほうはと言うと、楕円形(だえんけい)をした闘技舞台アリーナの地下にあった闘技用魔獣や迷路障壁を地上へ飛び出させる仕掛けギミックなどの様々な施設群が、すべて軍事転用の材料となってしまい。搬出(はんしゅつ)するために足場地面は()がされ、天幕(てんまく)まで持ち出され。外も内もボロボロになってしまっていたのだ。


 大戦からの復興が進むなか、帝国の伝統を途絶えたままにしてはおけないという気運が高まり。先代の皇帝陛下(こうていへいか)のもと、完全復元を目指した修復に着手。


 しかし道のりは目もくらむ長期間に及んだ。


 完全復元は、しきたりを重んじ、敬意を表し、いにしえの古文書に記載されていた方式に徹頭徹尾(のっと)ったもので進められることになった。その方式というのが、魔法に頼らない、すべて『人力のみ』の土木石工で行われたものだったからである。


 コロシアム建設当時は、奴隷制度のあった時代という背景もあり、あえて魔法工事を行わずに大規模な建造物をつくることで、多くのマンパワーを支配下に置いているという権力を誇示(こじ)する意図があった。


 それが撤廃(てっぱい)されていた先代皇帝陛下のもとでは、帝国軍人に加え、罪人をフル動員して修復作業が始められた。しかしそれでも建設当時と比べると、人員数は圧倒的に(おと)ったものである。石材を吊り上げる巨大木造クレーンを、手作業でつくるだけで、年掛かりという具合なのだ。


 コロシアムの外壁に使用されている石材の産地が、帝都から遠く離れていたことも作業長期化の原因になった。なにせ、切り出しから運搬にいたるまで、その全行程が馬すら使わない人力なのだ。帝都までの道すがら、石引きの罪人たちが幾人(いくにん)も力尽きたことから〝死石街道デス・ストーン・ロード〟という街道名が誕生した。


 このような並々ならない労力と、着工から世代をまたぐ歳月をかけ、現皇帝陛下のもと、内装工事を終えるにいたり、ついに、修復完了を迎えたのである。


 今後、修復された帝都円形闘技場では、バトルロイヤルをはじめとした種々様々な闘技会・競技会等が行われる。帝国軍主催のものから民間主催のものまで数多くの予定がすでに組まれてあるので、気になった大会をチェックし、元来の姿に立ち戻ったコロシアムに足を運んでみてはいかがだろう。


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