12・龍魔法と第一南フィールド【南の草原】
はいはーい、竜一さんですよー。
ようやく【物理法則何それ】が始まります。
スキルとかステータスとかを無視した人外プレイで他プレイヤーを白目にさせてやりますよ!
ただいま3時の食休み後、何時も通り家事や連絡を終えて、再ログインした僕です。
大輝達曰く東の山で無双しているようですが、僕は魔法を試しに南のフィールドに向かいます。
メリダ婆さんにまた来ると言って、外でログアウトしていたので、町の中心である転移門にでました。
そのまま南に向かうことにしましょう。
冒険者ギルドや教会?の混雑を避けつつ進んでいけば、畑や溜め池、小屋が見えてくる。
こっちはちょっとした開拓地のようで、畑拡大のためか大規模な防壁や門が見当たらない。その代わり兵士が多いようだ。開拓地と南フィールドの境に軽い防衛基地が建てられていた。
直ぐに移動できるようにか、少々ハリボテ感がある防壁門?を潜り抜け、南フィールドに到着した。
メリダ婆さんの注意通り、出来るだけ町から離れた、森林付近に向かう。
【威圧】で出来るだけ会敵を避け、【プリッカー】で加速、どんどん奥へと進んでいく。
...時々、【威圧】を受けているにも関わらず突進してくる巨大バッタをカウンター抜刀で切り伏せ、糸吐き芋虫は【体術】のアーツ、【衝】で押し潰す。
んー、弱い。ワンパンだわこりゃあ。
やっぱり北フィールドの方がヤりごたえあるんだよねー。
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『【大飛蝗】を撃破しました。』
『【糸吐虫】を撃破しました。』
『経験値を獲得しました。』
『Skill Levelが上昇しました。』
『【飛蝗の足】を獲得しました。』
『【飛蝗の触角】を獲得しました。』
『【糸吐虫の吐き糸】を獲得しました。』
『戦闘リザルト【勝利】 戦闘状態が解除されます。』
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『条件が達成されました。』
『スキル【気配察知】が解放されます。』
『プレイヤー:レイの習得可能スキル一覧スキルショップに登録されました。』
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うん、まあ、最初から...ね。
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『スキル【気配察知】を取得しました。』
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1SPでした。
町も見えなくなって少し、浅い森林が見え始めた所で止まる。周りは広く、敵の気配も小さい。
「よし、ここをキャンプ地とする!...なんちゃって。」
ソロだと多くなる独り言を垂れ流しつつ、魔法を使う準備をする。メリダ婆さん曰く、普通は冒険者ギルドの練習場を使って練習できるようだが、龍魔法はちょっとね...とのこと。お察しである。
魔法...魔法ねえ...錬金術も魔法だし、似たような魔法陣を展開する感じかな...いちいち紙に書かれた魔法陣を持ち歩くのもなんか違う気がするし。
ステータスから魔法スキルをクリック。詳細を開く。
持ってる属性魔法は七種類。火水土風光闇無を全部持っているのは結構凄いことらしい。スキルショップから買えるとしても、魔法スキルは獲ればとるほどポイント消費が倍増するらしいし。...まあ、全員が全員七属性持ってたら属性による有利不利がほぼ関係なくなるしね。当たり前か。
最初は...無属性にしとくか。所謂【魔力球】なる魔法スキルのアーツを意識する。
指先が仄かに熱くなり、【竜眼】を発動しなくても、濃密な魔力が立ち上るのが見てとれる。
イメージは魔力を垂れ流しつつ、それを圧縮して球にする感じ。圧縮圧縮!魔力を圧縮!
魔力は渦を巻きながら、魔力同士を巻き込みながら指先の一点に収束していくが、少し集まれば拡散し、少し集まれば拡散と、なかなか溜まっていってるようには見えない。
...んー、なんか形が定まらないなー。何かが足らない...。
イメージ的な...詠唱かな?
「...【魔力球】?」
突如指先に薄く光る小さな魔法陣が展開、垂れ流される魔力を吸収しながら、術式を自らの陣に刻み込み始める。
「わわわわわわっ」
急いで錬金魔法陣のような起動術式を意識、見たことのある幾何学的模様に魔力を誘導しつつ、本体である【魔力球】の術式の完成を待つ。
「完成したのかなこれ、それにしても...」
歪だ。
何回か見たことのある起動術式はともかく、【魔力球】を構築する部分であろう術式は汚いの一言である。
魔力線は真っ直ぐに引かれてない。
長さもまちまち、角度もバラバラ。
そのズレによって繋がらなかった部分は豊潤な魔力で無理矢理接続している始末。
幾何学的模様はなんとか形を保ってる有り様。
「これは酷い。」
ぶっちゃけこれ起動しても大丈夫なのか?
万が一に備えて、魔法破壊を取り出しておく。
そして、
「はっ」
起動術式に魔力を注入、形容しがたい音を立てながら、魔法陣が動き出す。
火花を散らし、点滅しながら、文字通り魔力球を作り出していき_____
「ていっ」
手頃の岩に発射、
破裂音と、空気を揺らす音が抜け、
岩の表面が衝撃エフェクトに包まれる。
成功。
「ふう...」
発射した瞬間バラバラに砕け散ってしまった、【魔力球】の魔法陣の余剰魔力が空に昇っていくのを横目に、試しにぶつけた岩に駆け寄る。
魔法破壊はストレージにしまっておこう。
「おおう、放射状に抉れてる...本当に衝撃の塊をぶつけたって感じだね...。」
いやいや、lv.1でこれって威力が強すぎるでしょう。
んー、自分のInt値的にこんなもんなのかなー。
でも、PvPになったら危なくない?
「んー、衝撃の塊っぽさがあるのに、衝突痕的に余波がほとんど広がってないな...。束拳の撃法みたいなもんかなー。例えて収束衝撃弾か...使い勝手の良さそうな魔法だね。」
さっきと同じくらい離れてもう一回撃ってみる。
一回目の魔法陣は歪にも程があったが、ある程度の構造は理解できた。通常は直線であると思われる部分は直線を意識し、線で作られる図形は魔法陣らしい点対称を補正的にイメージする。起動術式は何時も通り、これなら___
「うーん、まだなんかなー...。」
さっきよりは俄然ましだ。だが容認はできない。
ぽいっと岩に放り投げる。
大きな破裂音。弾けるスパークリング。
数秒後、エフェクトが消えた所にはさっきより大きく抉れた岩がある。全体にもヒビが入り始めているようだ。
威力が大きく上がっている。
やはり精度の問題なのだろうか。
もう一発。
「【魔力球】。」
魔力を強く流す感覚。
詠唱により魔力が魔法陣状に誘導されるが、これではさっきと同じこと。
魔法陣の記号群は粗方把握できた。
魔力の誘導を予測、
直線は直線、曲線は曲線。
速く綺麗に簡潔に。
集中。
「.......。」
発射。
もはや爆発。
岩が見えなくなる。
飛んできた岩の欠片を半歩下がって回避。
これは...。
「あーーー、本当に強力過ぎるね。」
風に吹かれ、見えてくる元岩。
地面は少々抉れ、岩は完全に消し飛んでいる。
周囲には岩の欠片が大小散らばり、
その破壊力を物語る。
よく被弾現場を観察するため、近寄ってみる。
が、
急接近する生命反応を感知。
風切り。
何か軽いものを、強く叩きつけたような音が響き、
右前の草むら。
バッタだ。
しかも道中の大飛蝗よりデカイ。
そして速い。
抜刀。だが本体には届かない。
強靭な足先一本。
「ッ!」
後方。更に前方。気配は...3!
【鑑定】...王様飛蝗?
足一本失いながらも左側の草むらに飛び込もうとする王様バッタAを前方に【衝】で蹴り飛ばしながら反転、もう触角が見え始めている王様バッタBに一歩。
跳躍の為か、顔を持ち上げながら突進を予測できる動きに、地面スレスレから昇る一斬り。
更に叩きつける二斬り。三斬り。
吹き上げる体液エフェクトを王様バッタBを踏みつけて【衝】、跳躍回避、反転。
前方、地上12m、縺れた王様バッタAの後方には超高速で飛来する王様バッタC。
直線。
集中。
「飛ッ、ぶ!」
一歩。
空中を音速蹴り。
空気が歪み、強烈な破裂音。
足で発動させた【衝】で威力を増幅。
仮想の足が悲鳴をあげる。
HPが減る感覚。
トップスピードで突進。
地面に足が触れる瞬間。
全エネルギーを持って。
抜刀。
纏めて一閃。
身体中で暴れまわる衝撃を、一律。
受け流すように刀に威力を肩代わりさせる。
悲鳴のように軋む刀身。
普通なら一瞬で砕け散る破壊力を押し付けたのだ。
だが、ゲームだ。
飽和し、可視化された斬撃波が伸びる。
一直線、地面ごと、
巨大バッタA.C、斬痕から爆裂。
そして、
巨大バッタAを除いて三匹目。
気配は、頭上。
羽音と影は迫る。
全運動エネルギーは二匹に使ってしまった。
急加速はちょいとめんどくさい。
「ま、どんどん魔法を使っていかないとね。」
手を掲げる。
「【魔力球】!!」
精密さは後回し、構築速度特化の一撃。
魔力は大盤振る舞い。
記憶に任せ無理矢理構築。
流石に不安定な魔法しか出来ないが。
今回は、質より量だ。
長くは維持できない。
完成した球から射出していく。
避けられる。
かする。
不安定故に臨界突破、爆発。
誘爆。
直撃。
爆音。
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『【王様飛蝗】を撃破しました。』
『経験値を獲得しました。』
『チャラン♪ レベルアップ!』
『主職業Levelが上昇しました。』
『Status Levelが上昇しました。』
『Skill Levelが上昇しました。』
『LvP、SPが付与されます。』
『【王様飛蝗の足】を獲得しました。』
『【王様飛蝗の触角】を獲得しました。』
『【王様飛蝗の外骨格】を獲得しました。』
『【王様飛蝗の羽】を獲得しました。』
『戦闘リザルト【勝利】 戦闘状態が解除されます。』
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ぶっちゃけオーバキルだけど...練習にはいいよね。
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『条件が達成されました。』
『特殊条件が達成されました。』
『スキル【魔法陣】【詠唱短縮】【集中】が解放されます。』
『アビリティが解放されます。』
『プレイヤー:レイの習得可能スキル一覧に登録されました。』
『アビリティは自動取得されました。』
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んー?なんかいろいろ解放されたな。
スキルショップスキルショップ...。
【魔法陣】、【詠唱短縮】、【集中】か...
レベルアップしてSP12になってるし、とっちゃおう。
全部で1+4+2...【詠唱短縮】は消費SPが高いんだね。取得っと。
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『スキル【魔法陣】【詠唱短縮】【集中】を取得しました。』
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よし...あれ、なんかいつの間にかスキル増えてるな。
特殊解放系スキル?いつ解放したっけ...?
【超加速・流】Lv.1
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[王様飛蝗]
分類 魔物 飛蝗
希少度 D
属性 風
因子 風 ◼◼ ◼◼
HP ◼◼◼◼/◼◼◼◼
状態 肉体欠損
詳細
巨大な飛蝗の魔物。その脚力は鋼すら貫く。
跳躍からの突進は大国級の防壁にヒビを入れる程度。
王様とつくが、飛蝗系魔物のリーダー格と言うわけではない。
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ポッと出てきた謎の刀術及び抜刀術。
一応言っておきます。僕は剣道をやっていましたが、こんなことはできません。
できてたまるか状態です。
いろいろ戦闘テクニックや物理法則が乱れに乱れてますが、そこはスタイリッシュカッケー超エクサイティン!と頭空っぽにしてファンタジーをお楽しみ下さい。