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ロイ 元気いっぱい、食いしん坊なヘビ

 東の森。

 願い事を叶えてくれると言う噂の『ドングリ池』の、その近く。



「わあっ! 美味しそうな木の実がいーっぱいっ! いっただっきまーすっ!」



 一匹のヘビが、幸せそうに、満面の笑みを浮かべて木に登るなり、パクパク、モリモリと木の実を食べ始めました。

 彼の名は、ロイ。

 見た目に騙されてはいけません。彼はほっそりしたそのスタイルからは想像がつかないほどの大食いなのです!



「もぐもぐっ……むしゃむしゃ……」



 彼は、かぷりかぷりと木の実にかぶりつきます。

 木の実のほのかな甘みが口の中に広がり、木の実を食べるスピードはどんどん増していきます。

 また一個、さらに一個。ある時は同時に二つの木の実を頬張ります。



「やっぱり木の実はおーいしーい!」



 かぷりかぷりと、さらに木の実を食べました。

 ロイは本当に木の実には目がありません。



「——ゲプッ。ごっちそーうさーまでーしたっ!」



 おやおや、ロイくんったら。

 その木にたくさんついていた木の実が、全て無くなってしまいましたよ?



「おっ、そうだ。この池ってさ、願いを叶えてくれる噂のある池だよな」



 ロイくんには、お願い事がありました。

 なので、願いを叶えてもらうためのお供え物として、ドングリをふたつ、池に沈めました。

 そして。



「これからも美味しいものが、たーっくさん食べられますようにっ! あと、この森の木の実が無くなりませんようにっ! みんなの木の実がなくなるのは嫌だけど、僕が思いっきり木の実を食べられないのも嫌だからね!」



 食いしん坊の彼らしい願いでした。でも、森のみんなのために木の実がなくならないように、と願ったのは、ちょっとだけ意外なような気もしますね。



「さてと。どうしよっかなぁー。……そうだっ!西の森に行って、フルーの歌を聞きに行こう!」



 元気いっぱいにロイくんが叫んだ、その時でした。

 突然、ロイくんの頭の上に、黄色い逆さまのアーチがかかったのは。



「ほえ? これはなんだろなぁ?」



 ロイくんは気づきませんでしたが、そのアーチは『元気の黄のアーチ』でした。

 一番この森の中でたくさん食べるロイくんの、その元気の良さが、アーチの輝きに変わったかのような、そんなアーチでした。

ちなみに。

ロイが木の実を食べ尽くしたこの木が、実は東の森では一番長生きで、大きな川に(今となってはボロボロのオンボロ橋となってしまった)橋をかけてほしいと願った張本人……いえ、張本木であったというのは、また別のお話。

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