3話 西進開始!
次の日。
ログインしてふみーに会って話をして、出発しようと思う。まだふみーに目的を話してないしね!
「いよいよ行くんだな!まぁこのゲーム、民度は割と高いから安心していいと思うよ!」
「ありがとうふみー!」
「ていうか、どこ行くの?クエストやるなら手伝うけど。」
「そのことなんだけど…」
ふみーが戸惑った目で僕を見ていた。
「僕…旅に出ようと思うんだ!このゲーム、風景が凄く綺麗だし、まだ見たことないような景色も沢山ある!だから、色んなエリアを探索して、そして見聞録…旅行記を書こうと思うんだ。」
ふみーが驚いた目で僕を見る。
「旅か!うん、お前にピッタリだ。」
「でしょでしょ!」
だけど、ふみーは少し不安そうな目で僕を見ながら言った。
「何かあったら直ぐに連絡してね。体の隅々をスキャンするVRゲー特有の…ほら、あれもあるし。」
「うん。まぁ、多分ないだろうし、大丈夫だよ!」
そんな他愛のない雑談を少ししたあと、僕は出発した。
最初の目的地は西。Bolの同盟ギルド、さふぁいあの領土に行ってみることにした。
北部エリア:さふぁいあ騎士団実効支配領域
ルールから西へ1時間。ふみーが譲ってくれた旧式の半装軌トラック(前輪がタイヤ、後輪が履帯というタイプのトラック)を動かしながら、凍土地帯を駆けている。
このトラック、それなりにスピードが出る上に後輪が履帯だからとっても動かしやすくて、初心者の僕でも安心できる車両なんだよね。
そんな事を考えていると、遠くの丘の上に4~5人の人影が。
ゲームなんだし、ちょっと覗くぐらいなら大丈夫だよね…?
なんて考えていた矢先に辺り一帯に轟音が鳴り響いた。
尋常じゃない音。
しかしその正体は直ぐにわかった。
RSCS行政区:武力省 国防人民委員会 中央航空指揮所
【Skyeye02・左エンジン損傷】
システムメッセージにこの文字が現れた時、俺は目を疑った。
俺、大友義文が率いるRSCSは、このゲーム内随一の軍事力を保有する都市国家だ。
そこへ、宣戦布告無しの他ギルドからの襲撃。
なんとしても、報復する。このままではここの名が落ちる。
「直ちにSkyeye02を救出する。偵察機も出せ。現場を確認しろ。」
NPCに指示を出す。
「了解。Skyeye02救出の為の輸送機、及び被弾地点に偵察機を送ります。」
「救出機、偵察機上がりました。凱旋門空港より、Stork01。外周防衛航空隊より、Brother01、Brother02。」
NPCが航空隊の出撃を報告する。
現状の確認だ。
攻撃されたのはSkyeye02、つまり、AWACS。
左エンジンが破壊され、本国まで持ちそうにない。
そこで、近くの平野におろしてStork01(輸送機)で搭乗しているNPCを回収する。
その際、被弾地点付近に偵察機を送り、付近の情報を確認する。
「偵察機からの映像を受信!」
「スクリーンに映せ。」
大型スクリーンに偵察機からの映像が映し出される。
「なっ、のんっ!?」
そこに映っていたのは、4、5人のプレイヤーに襲われるのんと、偵察機を捉えていると思われるSAMだった。
「そういうことかよ!爆撃機を送れ!地形を均すぞ!」
そう言って、俺は席を立ち上がった。
「全敵対プレイヤーの排除後、全ての機体を帰投させろ!」
のんに当たらないようにしなければ。
そう思いつつ、格納庫へ急いだ。