1話 初ログイン、初会話!
志向を変えてこんなのを書いてみました。
やる気が続いたら続編書くかも。
Dungeon&Country、通称D&C。
今流行の、VRMMOにRTSとサンドボックスの要素を合わせたゲームだ。
このゲームの特徴。それは、何でも出来ることだ。
魔法使いや勇者になってダンジョンを攻略したり、ただひたすら建築をしたり、国家元首になって政治をしたり、決闘したり、盗賊になったり、傭兵になったり、ロボットに乗ったり。
あらゆる事ができる、非日常が日常のゲームだ。
僕、山川望は、VRMMOデビューを、このゲームで果たした。
「これでよし…!」
僕はログイン早々、メニューを開いて設定をいじっていた。
僕の職業は盗賊。倒した相手からのアイテムドロップ率にバフがかかる、初心者向けの職業だ。(公式アナウンスより)
先にこのゲームを始めている友達の大友義文が、迎えに来ると聞いていたのだけど…
「わりぃのん(僕のあだ名)、待たせた。」
「あ、来た!おそいよーふみー!」
「ごめんごめん。」
苦笑しながら謝罪するふみー(義文のあだ名)。
僕の親友だ。
「で、今日は案内だっけ?」
「そうそう、のんのVRデビューだからな。このゲーム、かなりアレだから、きちんと案内しようと思って。」
「そうなんだ…」
僕はふみーに近づいて言った。
「じゃあ、しっかりよろしくね!」
「おう、任された!」
ふみーはそう言って、僕を馬に乗せて進みだした。
「まず俺さ、国持ってんだけど…来てみる?」
「行きたい行きたい!でもどんな感じなの?」
ふみーは笑って答えた。
「とっても良いとこ!」
ふみーの提案により、先にショップの機能とかUIの解説をしてもらってからふみーの国へ行くことにした僕。
そして、風景を楽しみたい僕は、ふみーと列車に乗ることになった。
「あの『りみてっどえくすぷれす』ってのに乗ればいいの?」
僕はふみーに聞いた。
「そ。あのLimited Express、つまり、特急に乗ればいいんよ。」
「そうなんだ!じゃ、早く行こう!」
「あー待て待て」
ふみーが僕を呼び止める。
「改札はこっちを通るぞ。」
そういって、指を差していたのは、凄く豪華な改札だった。
「えーと、それは…」
「貴賓車に乗るプレイヤーの専用改札だよ。こっからじゃないと乗れないぞ。」
「そー…なの?」
僕は困惑した。
「急ぐぞ。貴賓車、後10分で発車するから。」
「あっ、ちょ、まって。」
置いて行かれないように急いで歩く。
今ふみーに置いて行かれたら、大変なことになるだろうしね。
ふみーが言った通り、10分もすれば列車が発車した。
ゲームだからか案内板は英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロシア語、中国語、韓国語、そして、日本語に対応していた。
「すごいねふみー!車内半端ないと言うか、なんというか。」
「オリエント急行とか、そう言う世界中の豪華列車を参考にしたからな。一般客車は。こいつはそれを更に超えるぜ。」
その時、僕の脳内にはっと思い浮かんだ。
「統一列車かな?」
「申し訳ないけど北朝鮮ネタはまずい」
けたたましいベルが突然なった。どうやら発車するみたい。
「しっかし、やっぱあれだな、おまえ。」
「なにが?」
動き出した車内で、突然ふみーが言ってきた。
「いや、あれ、ユーザーネームはnozomiで、アバターは中性的で低身長…お前、人付き合いは気を付けろよ。」
「何で?VRだから、大丈夫なんじゃ…」
「VRだからだよ。一応さ、人体をスキャンして3Dモデルにしてるって都合上…ね、アレもきちんと再現されてるし、きちんと出来るし…」
その言葉で全てを察した。
「そーゆーこと…」
「ところでさ、ふみーの国というかさ、ギルドってなんなの?」
僕はふみーに訊ねた。
「あー、長話になるけどいいか?」
「全然おっけー!」
「よし、まずギルドには三種類あって、プレイヤーギルド、騎士談ギルド、政党ギルドってあるんよ。プレイヤーギルドはよくある普通のギルドなんだけど、国を建てることができないんよね。で、騎士団ギルドはそれの上位版で、プレイヤーだけで構成された建国ギルドなんよ。政党ギルドはプレイヤー以外にNPCも入るギルドで、建国した国のイデオロギーを決定できるようになるっていうわけ。」
「騎士団ギルドはイデオロギーを変えることはできないの?」
「うん。専制政治MAXだよ。」
「ふみーはどんなギルドに入っているの?」
「俺は政党ギルドのBolsheviki、通称Bolのリーダー。元首国はルール社会主義都市国家。こっちはルールとか、RSCSって呼ばれてるけどね。」
「へぇー。社会主義か。」
僕は少し疑問に思った。
このゲームで大丈夫だったのだろうか、と。
約1時間後、雑談をしていたらいつの間にかルールに到着するようだ。どんな街なのか楽しみだなー!
ありがとうございました。