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試製自走多連装ロケット砲奮戦記  作者: 通りすがりの野良猫
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試製66ミリ擲弾銃の唯一の「実戦」

1973年、奇怪なきのこにより人体が怪物化する、恐るべき事案が発生した。

この事件は事件の特異性から闇に葬られたが、このとき使われた火器が試製66ミリ擲弾銃であったのだ。

1973年、かって南方の無人島に漂着し、唯一生還した男性が収容された病院より緊急事態が発生したとの通報が警察に入った。

これはかねてより予想された緊急事態であり、所轄の警察からは警視庁に報告、さらに首相官邸に連絡あり、陸上自衛隊が警察に「技術的協力」を図るよう「指示」が出された。


ストレートに表現すれは「治安出動」であるが、この時期はまだ学生運動華やかりし頃であり、政治的な問題から治安出動が難しかった時期でもあった。

しかし、本件は絶対世間には秘密にしておくべき事案で、万が一にも露見してはならないことでもあった。

というのも、患者は未知のきのこの胞子に冒され、 人体内で増殖し、人間そのものまで、きのこと人間の中間体のような怪物化する恐るべき事案だったからだ。


当該の入院患者は、収容された段階ではきちんと意識もある状況で、遭難の経緯も語れたが、数年後から現地で吸い込んだであろう胞子がじわじわと体を蝕みつつある傾向が見られ、とうとう意識もなくなり、ついに、、、変異してしまったのである。

その結果、病棟は閉鎖、医療スタッフは退避したのである。


そして彼は、完全に隔離されたのであるが、監視カメラには彼自身からきのこの胞子が放出され、きのこが増殖していく様が記録され、いつしかカメラも胞子に覆われ見られなくなってしまった。


怪物化した彼を救う手立ては、様々な実験室で研究、取り組まれたが、当時の技術では不可能の結論になった。

また当初、胞子の拡散は同じフロアのみと思われていたが、各所の隙間から他のフロアにも拡散していることが判明した。


このままでは、いつ感染が拡大するか、わからない状況になったのである。

拡大を防ぐには、焼き払う以外の選択しかなくなった。


ここで問題が発生した。

屋内で胞子を含め焼き払うには、在来の火器では困難であった。火炎放射器は狭い建物では使えず、まして胞子の飛散をおさえるためにはあまりに強力な火器も使えないが、最低でも病棟の仕切りを貫通する威力が必要と結論に達した。


この結果、当時、陸上自衛隊で開発されていた試製66ミリ擲弾銃が、この条件をクリアするということで投入されることになったのである。

対戦車榴弾で仕切りを破り、榴弾及び今回特別に用意された焼夷弾で内部を焼き尽くすことになった。

この擲弾銃は、狭い塹壕からも撃てるように、我が国で開発された独特のものであった。

普通、このクラスなら砲身後部より発射ガスを噴射、反動をなくすが砲身があたかも普通の大砲のように後座して反動吸収するものになっていて、今回のような屋内での戦闘には最適と判断された。


かくして幻の治安出動となった、今回の作戦の詳細は公にされず(できない)あれから40年過ぎても、断片的な情報しかないが、当該の病棟はなくなり、解体理由は後に「有害なアスベストが使われていた」とのことであった。

また収容されていた患者の消息も不明である。

なお今回の試製擲弾銃も、様々な理由から制式にはならず武器学校に保管と、謎に包まれたままになっている。



いまだに詳細不明のこの事件です

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