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試製自走多連装ロケット砲奮戦記  作者: 通りすがりの野良猫
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謎の轟式力作車

これは有名な、旧海軍の残党が南方の秘匿基地で建造した「空飛ぶ戦艦」の建造に活躍した土木車両についての話である

この車両ほど謎の大日本帝国の装軌車両はない。と言うか、大日本帝国の軍用車両であったかどうかも定かではないのである。

皆さんもご存知の「空飛ぶ戦艦」である。

これは戦後、南方に残留した艦政本部の工廠や各種技術者達が現地で得た特殊材料などをふんだんに利用、さらに戦後密かに収集した技術研究資料などを活用して独立して 作ったらしい代物である。よく考えてみたら、空も飛ぶとなると、それなりの軽量化が必然的にあり、かつ機動力が並の戦艦より遥かに優れたものならむしろ巡洋戦艦またはポケット戦艦並みに防御力を低減できると思うのだが?

と余談はさておき、これだけの艦艇を建造するには、資源の採掘、運搬、製鉄後の加工だなんだかんだ、はたまた建造ドックの建造など様々な土木、建築作業がついて回る。

それを可能にするには、少人数の技術者と言う環境では相当な機械化が図らないと無理がある。


そう思い、空飛ぶ戦艦に関する技術資料を検証してみたがやはり出てきたのである。

「轟式力作車」である。これがまた、ユニークな車両揃いである。

と言うか、南方で手に入れることのできた装軌車両、それをことごとく利用しているのである。


添付されたメモによれば、当初は海軍が捕獲した米軍や豪軍の土木車両を利用していたのであるが、鉄鉱その他の鉱物資源が露天ぼりできるようになってからは、南方各地に残置された日本軍の大発や、軽い損害で着底した輸送船などをサルベージし、さらにダミーの海運会社すら現地に作り、製品を販売することを行ったのである。

そして得た利益により、各地に放棄された各種装軌車両をスクラップとして購入、実際に製鋼材料として利用する以外に、レストアしてトラクターあるいはブルトーザーに等に改装してさらに工事や建造に活用したのである。

島民たちも貴重な現金収入が得られると喜び協力してくれる。

これは戦争中でも現地の島民達に食料を分配し、医療、教育など彼らが必要なサービスを積極的に提供したことが、大きくものをいってるのである。

島民らは自分たちの名義で各種工作機械などをダミー会社数社を通して購入し、一方で鉱山開発やドックの工事には作業員を募り提供してくれたのである。


戦時には不可能であったことばかりであるが、戦後の冷戦が本格的に進んだ時期でもあり、アメリカ軍の哨戒もなくなり、完全に安全な環境下で空飛ぶ戦艦の建造が進んでいくのである。


さて主題の轟式力作車であるが、このような状態であるから、様々な車両がベースになり作られて利用されている。


最も多いのは意外にもアメリカ軍のM3軽戦車ベースのものである。

これは、当初の南方での戦闘にはM3あたりが重宝されたが、フィリピン方面などに戦線が移動するにつれ新型のM4中戦車の系列に更新され、戦後は本国に持ち帰る手間もあり、現地でスクラップ化されたのである。

それをベースに砲塔撤去してドーザーブレード追加やウインチ追加、はたまた密かに輸入した土木機械を取り付けたりと大活躍となったのである。

他にも豪軍のマチルダ戦車、日本軍の95式軽戦車、米海兵隊のLVTなどまである始末。


これらの機械力のお陰で、空飛ぶ戦艦はついに陽の目を見ることができたのである。

ところで、轟式の意味であるがどうやら現地の部隊の秘匿名称「轟天」からとられたらしい。


なお戦後73年の今年であるが、建造ドック跡は立派な博物館として再度整備(出撃前の潜入工作員の破壊工作で破損した)の上、退役した空飛ぶ戦艦の安住の地となっており、この正月も日本から訪問する観光スポットにもなっている。

そして各種の轟式力作車も往時の活躍を偲び展示されているのである。




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