73式装甲戦闘車
73式装甲車は本来、強力な機関砲を備えた装甲戦闘車、つまり世間で言われる歩兵戦闘車になるハズであったが?
60式装甲車の後釜の73式装甲車は、その後の89式装甲戦闘車、世間で言うところの歩兵戦闘車と比べて、地味なのは、固有の武装が60式と同じレベルで貧弱なところである。
制式になった73年は、第4次中東戦争があり、ソ連のBMP1が投入されてたし、ベトナム戦争ではアメリカ軍のM113がやはり追加装甲やら各種兵装備を現地で追加したりして、装甲兵員輸送車自体が強力な武装を始めた矢先であったから余計に73式のひ弱さが目立つのである。
そうは言っても、陸上自衛隊とて甘んじていた訳ではなく、ラインメタル社製の20mm機関砲装備するつもりだったのである。
もし、73式がこの機関砲を装備できていたら、アメリカのM2よりもはるかに先んじることができたし、先行する西ドイツのマルダーにもかなり追い付くことができたのである。
ところがである。
我が国を幾度となく襲う怪物どもは、ことあるごとに、我が国の貴重な機甲部隊を蹂躙してくれるのである。
資料映像を見ても「第79戦車隊は全滅、事後の行動は不可能」等の悲痛な通信が入っていたり、巨大なジュラ紀の生物の生き残りが吐き出す火炎攻撃は、沿岸に展開した戦車中隊をまとめて焼き払うくらいの大打撃を与えるのであった。
これらの損害は、最前線に配置された機甲部隊に集中することになるのは、当然であった(その次は避難民の交通統制に当たった普通科であり、比較的後方からの攻撃可能な特科は直接支援に当たった部隊を除いては軽微であった)
これは人員面で当然、大打撃だが、毎回毎回多数の装甲車両に大損害を受けるのは予算的にも厳しいものとなる。
73年、襲ってきた怪物どもも1体は宇宙から、もう1体は海底深く地中から?出てきたのであるが、こいつらがまた片っ端から機甲部隊の反撃も屁とも思わず、蹂躙しまくってくれたのである。
察しのよい方は、これで73式がかくもひ弱な火器しか備えなかった理由に思い当たられるであろう。
そう、金である。
損害を穴埋めしつつ、装備を強化する金がなかったのである。
金が足りないから、73式はグレードダウンして73式装甲戦闘車になる、ハズが73式装甲車になってしまったのである。
「なんであんな2体も同時にきやがったんだ!」桧町にあった防衛庁の陸幕で装備担当者が愚痴るのも、もっともな話であった。
今も昔も予算には勝てない自衛隊。