64式小銃改について
巨大な怪物に蹂躙されまくりの陸上自衛隊、せっかくの小銃も損耗していきます。
ではどう対策するかであります
古い資料映像を見ると、自衛隊発足当時の小火器が出てくるが、ほとんどが米軍からのものである。
これが、東京オリンピック後からは国産に切り替えられていくが、その中でも一番、陸上自衛隊にとって関わりが深いのが、豊和工業製の64式小銃なのは、紛れもない事実である。
「連発時でもそれなりの精度のある、日本人向きに量産された初の自動小銃」であるが、「やたら細かい部分があり、少しのガタで部品が脱落する銃」 だったり「行軍中、なんか重くなっていくような錯覚を覚えるほど重さを感じる銃」であるのは、この銃で訓練を経てきた自衛官すべて(後には海上さん、航空さんもはたまた海保さんも)感じたことかと。
そんな鉄砲が、初めて映像に残されたのがこの銃が制式化された2年後に、東京近辺あたりで暴れた2体の人型の怪物との交戦である。
制式化されたばかりの小銃とは言えやたらでっかい怪物(それも1体は人も常食するらしい)
が相手ではどうにもならんのは仕方ない次第。
使ってみて、上、下部被筒(銃身のカバー部で上、下に分割されてる)の取り付け、材質の改善や弾倉を差し込む箇所の強化などされていくのである。
こうして、64式は70、80年代に、様々な場所で使われていく。
ところが、どっこい、その間に巨大な怪物どもが日本上陸を果たしており、その都度、自衛隊も果敢な戦闘を展開、一般人の退避に必要な時間を稼いだり、怪物を眠らせて運搬、怪物同士を戦わせたりと活躍したのである。
その中で、第一線の隊員は、怪物に踏まれそうになりながら退避したり、まさに命がけの活動をしていたが、そんな時に携行していた小銃を失ったりしていた。
最悪のケースは、71年に静岡県富士市近辺に上陸した怪物(宇宙生物が元になっているという話である)が多量の硫酸ミストを噴霧したため、近くに展開していた普通科中隊の小火器類はもちろん、106mm無反動やら81mm迫等が腐食して、一切の武器が使用不能になってしまったことが挙げられる。
また、84年に再度、東京が怪物に蹂躙された時以来、巨大な怪物の来襲が増えて、小銃の損耗がさらに増え、不足が生じてきたのである。
単純に不足したから作ると言うわけにも行かず(すでに後継の89式が制式化目前)事態は89式小銃が制式化されたことから、ある程度は補われたものの、今度は、弾薬の互換性がないことから、89式を持つ部隊には64式を補充したとしても、手持ち弾薬が使えないとかの問題が発生する。
これでは旧軍の二の舞になってしまうのを恐れた陸幕は、64式を改造し、小口径の22口径ライフル弾を使えるようにして予備自衛官や直接の戦闘に当たらない部隊に配備することになったのである。
これは、改造の手間の割には(機関部の交換、銃身の交換等)あまり効果的な方策ではないが、基本的に平時の小銃の生産ラインでは、一気に増産も不可であり、かといって旧軍のように2系統の小銃弾薬の補給は避けたいために断行されたのである。
一方でメリットは、命中率の向上である。
予備自衛官の召集訓練では神業のような射撃をするベテランが、小口径化で反動の小さくなった64式で撃つとさらに当てるのである。
また経験の浅い小柄な新隊員でも、膝射ちで射場の天井を撃つようなことも無くなる等、弱装弾による命中率の向上は明らかであった。
また小型化した弾は携行可能な弾薬数を増やす結果にもなったのは評価された点ではある。
この結果、陸幕は保有する64式小銃をほとんど改造してしまったのである。
なお、外観がほとんど変わらない事を理由に書類上は「64式小銃」で通しているが、現場では「64改」で通っていたそうである。
さすがに2017年ともなると、予備自衛官の訓練でも使われなくなってきてはいるが(新隊員の訓練はとっくに89式)、予備自の間では懐かしく語られることの多い小銃である。
64式小銃、くそ重い鉄砲ですが、これぞ鉄砲、といえる懐かしい武器ですな