3話
玄武がうざそうな顔をこっちに向けてきた。
目を合わす気はなかったんだが。
「久々に見たわ。せいぜい暇つぶしぐらいにはなってね。」
「わざわざ相手にする気はねー。他の奴で暇つぶしてろよ。」
こっちとしてはけがをする気はないので、無難に終わらす。
ルールは、降参するか戦闘不能になるかの2択である。
「では、始「降参します。」め。」
先生に少し食い気味に宣言させてもらった。
これで無傷。
試合に負けて、勝負に勝ったってところだな。
周りの奴らは呆然としてやがる。
こんな授業なんかで降参する奴なんて滅多にいないだろうからな。
訂正。
一人呆然としてない奴がいる。
「あひゃひゃひゃひゃ。」
風見だ。あいつ爆笑して転げ回ってやがる。
笑いすぎで死ね。
「なめてんの?」
怒髪天を衝くかの如く怒っている。
というか髪の毛が重力に逆らって、辞書に載りそうなほど体現している。
「なめてねーよ。戦略的撤退をしただけだ。」
しかも次の授業の宿題をするために、右手は無事でないといけないし。
「やっぱ腰抜けは変わってないな。」
無視させてもらうことにした。
「あひゃひゃひゃひゃ。」
さっきよりも近づいて笑っている風見とともに。
風見本当にうるさい。
しかも耳元で笑うな、うるさすぎる。
しかし、先生は面倒そうな顔をして、
「棄権はなしだ。斗宿、負けても良いから戦え。
じゃねえと、赤点確定な。」
んな馬鹿な。赤点?
「冗談ですよ。棄権するわけないでしょう。」
普段さぼっているつけがきているな。
まじめにするとしますか。
ルールは気絶もしくは、リングアウト。
俺はリングアウトを狙う。もちろん、俺が負ける方向で。
体術では気を用いてもいいことになっているので、一撃一撃に気をつけなければならない。
気だけにね。
「試合開始」
気を体に張り巡らして、
視界から玄武が消えた。
ドン
くっそ。
かろうじてガードしたけど、今の玄武のけりで薬指の骨が折れた。
しかも、リングの外に吹き飛びそうなのに、追撃する気だ。
この体勢じゃ大けがしちまう。
ドン
追撃は当たらなかった。先生が防いでくれていた。
「それ以上はやりすぎや。玄武の勝ち。
誰か斗宿を保健室に連れて行ったれ。」
「俺が行きます。」と風見が言った。
風見良い奴じゃねえか。
まあ、さぼりたいだけだろうけど。