寝坊は三文の損
俺の名は斗宿。関西圏に住む16歳で、通っている学校は玄武武練学校の2年だ。今、俺は非常にピンチだ。入る教室を間違えて、先輩の教室にいる。しかも、遅刻しているという2段構え。現在この学校では、違う学年の教室には入ってはいけないという決まりが今年の1月に施行された。
先生と目が合った。現実逃避していても仕方ない。
「反省文10枚書いてこい。明日の8時までに出せ。」
そのように言うともう用はないようで、背中を蹴られて部屋を追い出された。
今度は多分、自分の教室でも反省文を出されることだろう。そう思うと頭が痛くなる。
元々、今日は遅刻するつもりだった。このような武練学校特有の武練の授業があるからだ。武練の授業に使えるのは体術のみで、魔術を使うことはできない。俺は体術が苦手なのだ。サボりすぎて恥をかく、恥をかいてはサボるの悪循環…。もう後10分しかこの授業は残っていないので、今日は恥をかくことはあるまい。
だが、俺が体育館に入ると、先生は言った。
「次の時間の先生は、今日休みだからこのまま武練の授業を続けてすることにした。下の学年といっしょだからサボるなよ。」
下の学年?
俺にもフラグを建てる特殊能力ができたらしい。
まぁ、悪い方でだけど。女の子がよってきてくれるようなフラグではないけど。
ここでもう一つフラグを建てることとしよう。
玄武さんとのクラスと合同はあるまい。さすがに、六分の一はひくまい。突然だけど、一学年は6クラス存在している。玄武さんはこの学校のアイドルみたいなもので、親衛隊もいるのだとか。こいつはかわいくて、戦いの天才なのだ。友達があまりいない俺とは違う。
「軽いトーナメントをする予定やから。ちょうど今年の特待生の玄武さんもおるし、よかったな。ええところ見せられるように頑張りや、サボり君。」
何もよくない。フラグたちすぎだろ。
ふざけんな。こないだ宝くじが当たったからか?フラグがどうのこうのというよりは運が悪い。すこぶる悪い。
玄武さんに俺は興味がないので、無関心でいたい。決して人気なのを嫉妬している訳ではない。とはいえ、周りはものすごく浮かれているし、友達の風見もものすごく浮かれていた。そんなに、他人からちやほやされていることがただただ羨ましい。
寂しくそれを傍目で見ながら、けがをしないように準備運動をすることにした。
風見、俺寂しいからしゃべりに来てくれないかな。
来てくれないかな。
向こうで他のやつと話している。来てくれない。
寂しい。