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魔王が存在しない退屈な日々に人々は刺激を求めている‼︎  作者: 辰太郎
第1章 ドラゴン討伐編
13/23

〜第13話〜新しい仲間



「なるほど、つまり魔王になるというより反逆者になる事を目的にしている訳ですね」


俺の話を全て聞いたネルビオは顎に手を当てながら楽しそうに呟く。


ついでに、縄で拘束されていた俺とチズルは解放されている。

未だに死んだフリを続けるバカは放っておいて、今は会話に集中しよう。


「まぁ、そういう事になるのかな? とにかくお前の兄の店を焼いたのは故意ではなく事故だ。金を払えといえば払うし、謝るから俺達を逃がしてくれないか?」


「……ほへ?」


俺の言葉を聞いてネルビオは目を丸くする。


「別に私はカルディアの店を燃やされた事なんて根に持ってませんよ? なんならあんな天然店主の店なんて消えてなくなればいいんですよ。 それとカルディアは兄じゃなくて姉です、訳あって男装しているだけで」


「どんな訳があって男装する事になるんだよ………じゃなくて! それじゃあお前は俺達を憲兵に引き渡す気も無ければカルディアの店の仇を取る訳でも無いんだよな? それなら何の為に俺達を拘束したんだよ?」


「それは貴方達が私の話を一切聞こうともせずに攻撃してくるからですよ。 私はただ、面白そうな企みをしてそうなのでその内容を聞きたかっただけです」


するとなにか、俺達は勝手に早とちりしてネルビオに攻撃を仕掛けた挙句、返り討ちに遭ったって訳か?


ちょ、それあまりにもカッコ悪くね?


もうなんかね、正直に色々尊厳が踏み躙られた気分ですよ。


俺は壮大に肩を落とす。

するとネルビオは唇の端を上げながらこちらに歩いて来る。


「よし決めました、私も今の帝国には色々と不満はありますからね、貴方達に助力しましょう。 何より楽しそうです」


「…………いや、結構ですハイ」


「えええええぇ⁉︎ ここは『いいのか⁉︎』とか言って喜ぶべき場所じゃないんですか⁉︎ 自分で言うのもアレですが、私結構頭いいですし力になれる逸材ですよ?」



いや、ダメだな。

下手すりゃコイツなら俺が召喚魔法で召喚したゴブッちを解体しかねない。

寝ている間に俺が解体される可能性も十二分にあり得るしな。


「これ以上頭のおかしい奴が増えると俺としては大変なんだよ! ただでさえおかしなのを一人抱えてんだから!」


「おい、今私の事を頭がおかしい奴と言いませんでしたか? 私はそこに転がってる頭のおかしい人とは違いますから、至って常人ですから!」


「ちょっと⁉︎ さっきからアンタ達私の事をバカにし過ぎじゃないかしら⁉︎」


「お前が喋ると面倒な事になるからそのまま死んだフリをしてろ!」


俺はガバッと起き上がるチズルの頭を地面に押し付けて『アルト』を唱えて動きを封じる。


チズルは身じろぎをしようと抵抗するが、やがて大人しくなった。


そんな光景を見て青色の髪を二つに結んだ頭のおかしい子がポツリ、


「対応が酷いですね、もう少し優しくしてあげたらどうですか?」


「モンスターの死体の解体を趣味とするお前に対応が云々とか言われる筋合いが無いと思うのは俺だけか?」


二人して無言で睨み合う、するとややあってネルビオが不敵に笑みを浮かべた。


「とにかく、もし私を仲間に加えないと言うのであれば憲兵に突き出しますよ、いいんですか?」


「クッ、姑息な手を! ……………はぁ、ったく、分かったよ。その代わり計画に携わるならちゃんと力になってくれよ?」


「それはもちろん、私を仲間に入れた事を泣いて喜ぶぐらいの事はしてあげます。 いやぁ、本当に最近の憲兵や帝国はやりたい放題だったので貴方達みたいな人を待ってたんですよ」


「お前もだいぶやりたい放題だけどな………まぁいいや、俺はスルガ、そっちのアホはチズルだ、よろしくな」


「よろしくお願いします。 スルガとチズル、ちゃんと覚えましたよ、二人は変わった名前なのですね」


「それはまぁ…………気にするな」


「…………? 分かりました」


誤魔化す為に明後日の方向を向く俺にネルビオは疑問の目を向けてくる。

しかし俺は気にしない。

多分これは気にしてはいけない事なんだ。

決して転移者である事の説明が面倒くさかった訳では無い。



「ともあれこの状況でいきなり王都に襲撃するのは危険ですので、まずは仲間を作りましょう。 今の帝国をよく思ってない人が王都にもこの小さい町にも沢山います」


おぉ、なんか突然まともな事を言い出した。

確かにこの人数では少な過ぎるのはある。

しかし問題はどうやってその仲間を作るか………だ。


反乱の呼びかけなんてした日には速攻で憲兵に取り押さえられた挙句に死刑されるだろう。


そんなアホな事をして殺されるのは御免だぞ俺は!


「確かにそれは一理あるが、まずその仲間をどうやって作るんだよ?」


「ふふふ、そんなの簡単ですよ。 まずは………」


ネルビオは狡猾な笑みを浮かべて眼光を光らせる。


もしかしたらコイツはチズルよりも曲者かもしれん。

チズルだったら最悪さっきのように魔法を使えば黙らせるのに事足りたのに、こいつに至っては無理そうだ。


あぁ神よ、どうかこの俺に幸運のご加護を下さいお願いします!


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