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魔王が存在しない退屈な日々に人々は刺激を求めている‼︎  作者: 辰太郎
第1章 ドラゴン討伐編
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〜第一話〜食い逃げをする系主人公(※表紙あり)






挿絵(By みてみん)









さて、まず最初に皆さんに話しておきたい事がある。 俺こと碓氷駿河は日本で一旦死に、神に告げられ異世界にやってきた異世界転移者だ。


それを把握してもらった上で問おう。

もし、転生した世界に強大な敵が居なかったらどうする?


多分ほとんどの人が決して喜びはしないと思う。


だって異世界だよ?

せっかく剣と魔法の国に来たのに戦う事がないなんてもったいなすぎるだろ⁉︎


しかし、それはここに住んでいる住人達も同じ事を思っている様で、皆どこかつまらなそうにしている。

それに加え、娯楽に走った帝国はやりたい放題をしていた。


ついでに言うと、この世界には俺の他に転移者が多数居たりもする。


そんなこんなで俺は今、偶然出会った他の転移者と一緒に食い逃げをしていた。


って、話が跳躍しすぎだろ‼︎


「ゴルァァァッッ‼︎ テメェ等止まれぇぇッ‼︎」


「ひぃッ⁉︎ ちょ、スルガ⁉︎ めっちゃ追ってきてるんですけど⁉︎ 追いつかれたら殺されそうな勢いなんですけど⁉︎」


「マジでか⁉︎ それならいい方法があるぞ。 俺はこのまま走る、そしてお前は回れ右をして追っかけて来るオッサンに立ち向かうってのはどうだ?」


「それじゃ私殺されちゃうでしょーがッ‼︎ ってヤバイヤバイヤバイ‼︎ もう追いつかれるぅーー‼︎」


「ぐふぁッ‼︎」


必死で逃げていた俺ともう一人の女性の転移者は食い逃げを働いた店の店長に首根っこを引っ掴まれる。


………あ、やば。


「テメェ等俺の店で食い逃げするたぁいい度胸じゃねぇか、あぁん?」


「ひぃッ⁉︎ お助けを‼︎ 私は悪くないです、全てこのスルガという男がやりました‼︎」


「あっ、お前人の所為にすんなよ‼︎ 元はと言えばお前が突然一人でやるのは怖いからとか言って食い逃げの共犯を誘ってきたんだろ⁉︎」


「べーだ‼︎ 誘いに乗るアンタも悪いのよ‼︎」


「こんのクソアマッ‼︎」


俺は怒って拳を上げるフリをしてこの世界で覚えたとっておきの魔法を行使する。


「スキありッ‼︎ スモークッ‼︎」


「なっ⁉︎ ゲホッ、前が見えねぇ‼︎」


そりゃそうだ。

この魔法、スモークはその名の通り半径3メートルぐらいの距離にまで濃い黒煙を出す事ができるからな‼︎


「ゲホッ、ゴホッ‼︎ ちょ、アンタこんな所でそんな魔法使ったら私達まで前が見えないじゃない‼︎」


「………あ、いっけね。忘れてた。 まぁ、とにかく走れ‼︎ このおっさんに捕まったら吊るされるじゃすまねぇぞ‼︎」


「分かったわ‼︎」


それから俺達は無我夢中で黒煙の中を駆け抜け、背後から俺達を追いかける足音がしなくなるまで走り続けた。


やがて、疲労がピークに達したので路地裏で一休みをする。


隣で息を荒くする黒髪の少女は転移者だと言うのに目の色が真紅で、人間離れした様な美しさを兼ね備えていた。


「で……なんでお前は食い逃げの共犯なんかを頼んで来たんだよ」


「だってこの世界魔王が居ないじゃない‼︎ 転移して来たはいいものの魔王が居ないから魔物もいないし、町の周囲のモンスターは粗方討伐してあるし、ギルドなんで廃れる一歩手前だし‼︎ 私達の様な異世界初心者がこんな状態でどうやってお金を稼げって言うのよ⁉︎」


「あぁ………なるほどね」


正直彼女が言っている事は痛い程に分かる。

俺はこの世界に来て半年ぐらい経っているから慣れているが、来た当初はどうしようもなかったしな。


いざ冒険者をするぞ、なんて意気込んでいた過去の自分をぶん殴って夢から目覚めさせてあげたいぐらいだ。


「それならいい方法があるぞ?」


「なになに⁉︎」


彼女はフードの付いた赤色の羽織りを揺らしながら俺に身体を寄せる。


俺はそんな初心転移者に辛い現実を叩きつけた。


「農業だ、この町の土は栄養が豊富らしくてな、それで………」


「やらないわよそんなもんッ‼︎ 何が悲しくて異世界に来て農業を営まなきゃいけないのよ⁉︎ 」


「だよなぁ、俺もそう思う」


「突っ込みどころが多くて付いていけないわね……まぁいいや、とにかくスルガは何をしてこの世界で生きてるの?」


「泥棒と食い逃げだ」


「うわぁ、最低ね」


「お前が言うなお前がッ‼︎」


「さっきからお前呼ばわりしないでよ‼︎ 私には千鶴って名前があるんだから‼︎」


俺の盛大なツッコミもスルーされ、この少女の名前などというどうでもいい情報が俺の脳に追加される。


「ああああぁぁぁぁ‼︎ もうどうすんのよ、これじゃあ現実世界と何も変わらないじゃない‼︎」


「とりあえず落ち着け。 そんなに農業は嫌か?」


「嫌よ、私だって魔物とかモンスターをバッサバサ倒すような刺激的な生活がしたいの‼︎」


「そうかそうか」


俺はチズルの言葉に目を輝かせた。

それはそうだ、この話は俺のとっては何処までも都合のいい事だった。


高揚感に包まれる俺は唇の端を吊り上げて彼女に問う。



「なぁ、それならこの世界の反逆者、つまり魔王になってみないか?」


「………………………はへ?」


俺の問いにチズルは間抜けな声を上げるのだった。








どうも辰太郎です!


まずはこの作品を読んでいただいてありがとうございます!


もし転生した異世界に魔王が居なかったら⁉︎

と、唐突に思いつきで書き始めました!


更新の程は一日に一回できたらいいなぁと……


もしよろしかったらコメントや評価をよろしくお願いします。

それと、完結してはいますが特別編を随時更新する予定なので、「いまどき流行りの異世界生活」の方も見て下さいね‼︎


それではまた‼︎

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