20話 フィリアスと凶蹂躙獣
(´・ω・`)狂帝「最近忙しいな。」
セルム依頼終了後
俺達は護衛の依頼を終えて、アーリオ教徒が住む街、メルジアに来ていた。
「ここがメルジアか・・・。」
「めるじあー。」
さて、観光でもするか。
俺達はメルジアに入っていった。
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メルジア
街の中は、どこか暗い雰囲気だった。
目が虚ろな人、突然笑いだす人、突然叫びだす人、地面に座りこんだ人。
どこか変だった。
俺は街に不信感を抱いた。
その時前の方に人が沢山集まっていて、何か声を上げていた。
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アーリオ教の聖女と呼ばれていた、少女フィリアスは今十字架に掛けられていた。
何故こうなったのか・・・
フィリアスは思考する。
司教が民衆に言う。
「この魔女は!我々から幸せの薬を奪い独占しようとした!
この罪は死刑を持って償わせる!」
幸せの薬、服用した人に幻覚を見る、薬が切れると禁断症状が起こる、つまり麻薬である。
フィリアスは人と人が協力しあえる様な世界を夢見ていた、神に世界平和を願う訳ではなく、自分の手で協力しあえる世界を望んだ。
協力しあえる世界には人々を惑わす幸せの薬は不要、フィリアスは幸せの薬を無くすため行動した。
だが、結果がこれだ。
幸せの薬を無くそうとすると、アーリオ教上層部がフィリアスの行動を止める為、魔女として仕立て上げた。
ああ、私はただ協力しあえる世界を作る為に幸せの薬を無くそうとしただけなのに。
しかし、そんなフィリアスの心情は幸せの薬で汚染された民衆には届かない。
「「「殺せ!」」」「「「魔女を殺せ!」」」「「「神罰だ!」」」
民衆はすでに正常な思考ではない、民衆から見ればフィリアスは自分たちから幸せの薬を奪い取ろうした魔女なのだから・・・。
フィリアスは神に祈る。
「(神よ、アーリオ様、何故こうなってしまったのですか?)」
フィリアスは人々が協力しあっていける様に神に祈り使徒となった。
使徒とは神が自分の信者に加護を与えた存在の事である。
使徒になった時、アーリオ神は言った、その願いの一部は叶うと。
『何故こうなったとは、なんの事だい?
願いの一部はもつ叶っているじゃないか。』
神アーリオから返答がくる。
「(叶っているとはどういう事ですか!?)」
『ほら、周りを見てごらん、人々が協力しあって君という魔女を倒そうとしているじゃないか。』
「(そんな!私が望んだのはこんなんじゃない!)」
『君がどう思おうがこれは、運命さ。
おっと魔女の君には神の加護はいらないなぁ。』
神アーリオがそう言うと加護がフィリアスから消失する。
その事実にフィリアスは絶望する。
神アーリオは完全に自分を見捨てたのだと。
「(それが!神のやる事ですか!
私を貶めて!)」
『君の感性でものを言わないでくれるかな。
君の替わりなんていくらでもいるんだよ。』
「(許さない、許さない、許さない!
私を貶めたアーリオを!
私を殺そうとするアーリオ信者も!)」
『魔女が何を言っても無駄さ。
君はここで死ぬ命運なんだよ。
せいぜい苦しんで死ぬ事だね。
ハハハハ!』
アーリオが通信を切る。
フィリアスは呪った、神アーリオを
殺そうとしてくるアーリオ信者を。
フィリアスには心残りがあったそれは、セルム教に捕虜としていたときに産まれた、ホムンクルスの子供。
ホムンクルスだが自分の血を使っている為、立派な我が子である。
フィリアスは、最初は勝手に自分を血を使われたホムンクルスなので我が子という認識はなかった。
しかし一緒に暮らしていく内に大切な家族と思える様になった。
「(私の子を、リリーを幸せに・・・。)」
神アーリオやアーリオ信者に対する怨みは強いがフィリアスが望んだ事は我が子リリーの幸せだった。
当然復讐心はある、だがそんな事よりも我が子の幸福の方が大切だった。
「魔女を処刑せよ!」
司教が宣言する。
処刑人がギロチンを下ろそうする。
「(ああ。神だろうが魔神だろうが何でもいい。
どうか、リリーを幸せにして下さい。)」
ギロチンが落ちてくる。
フィリアスは自分の未来を幻視しる。
「(ごめんね。リリー、こんなママで・・・。)」
フィリアスは目を瞑る。
『汝が願い承った。』
「(え)」
フィリアスの前に黒き鎧を纏った魔神が現れる。
『喰らえ【凶蹂躙獣】』
巨大な凶蹂躙獣が一時的に具現化してフィリアスの上にあったギロチンを壊す。
凶蹂躙獣は圧倒的な力で暴れだす。
「グガァァァァ!!」
司教が慌てて喋る。
「だ、誰だ貴様ー!」
黒き鎧を纏った魔神は答える。
「俺は創造と破壊の魔神・・・いや、
――――――黒き魔神セルム。」




