14話 魔槍ニル・ボルガとキューホリン
紅いワイルドボアーを狩った後報酬を貰いに、冒険者ギルドに戻った。
「紅いワイルドボアーとゴブリン討伐終わったぞ。」
「はい。分かりましたってえ!
紅いワイルドボアーもですか?あなた今日登録したばかりですよね。」
「ああ。紅いワイルドボアーの討伐部位である牙も持っている。」
「わっ分かりました。報酬をどうぞ。」
俺は報酬を貰って出ていこうとする。
「ちょっと待って下さい。」
軽鎧を着た女が話し掛けてくる。
威圧をしながら。
「失礼。
紅いワイルドボアーを倒したと言うのは本当ですか?」
「・・・間違いない。」
嘘をついても意味が無いので正直に答える。
「確認しても信じられません。
貴方の様な新人があの紅いワイルドボアーを倒せるとは思いません!」
疑わしそうな顔で見てくる。
「まあまあ落ち着け。」
彼女の知り合いだと思われる男がやってくる。
「すみません、取り乱しました。
分かりましたよ貴方が特別強いのではなく、その装備が強いんでしょう。」
「まあこの装備が強いのは認めるが・・・。」
セルム達が話し合いをしているのを見物しているフードを被った男がいた。
「あの嬢ちゃん強さの格が分かってねえみたいだな。
鎧の兄ちゃんの足運び達人のそれだ、どれだけ戦いをしてきたのか。」
セルム教最高権威を持つ部隊、黒き神殿の守護者所属、魔槍の魔人キューホリン。
〈お前予想を遥かに越えているだろうよ。〉
キュクフリンの持つ槍から声がでる。
この槍は、魔導武具【魔槍ニル・ボルガ】。
「あん?どう言うことだ。」
〈足運びだけでなく魔力も計り切れないほど多い。〉
「魔力だぁ。そんなものアイツからは感じ取れねえぞ。」
〈お前にさえ分からないのだ、この魔力の奔流を分かる者は殆どいないだろう。〉
「そんなに魔力がでているならなんで俺が分からないんだ。」
〈魔導武具くらいしか分からない特別なパスを使って魔力を出しているからな。〉
「特別なパスって事はその魔力なんかの魔導武具に供給しているって事か。」
〈ああ魔力は大魔力発生機に渡っている。〉
「ん?ドゥーグ達の動力を供給する装置のことか。」
〈つまり全ドゥーグ達の動力源は目の前にいると言うことだ。〉
「は?有り得ねえだろドゥーグがどれだけいると思っている!少なくとも1億機は軽くいるんだぞ!」
〈ドゥーグ達が遠く行けない理由は知っているな。〉
「ああ。大魔力発生機の範囲が関係しているんだろ。」
〈その範囲はセルム教領土全域だ。だからセルム教領土全域を覆い尽くすくらいの魔力を持っていると言うことだ。〉
「量産型ドゥーグ達はセルム教領土を出てなかったか?」
〈量産型ドゥーグなら1日くらい動力が持つからだ。〉
「おいおいじゃあやべえあの嬢ちゃん難癖つけてるように見えるが大丈夫か?」
〈あの方は黒き魔神本人か分体かなんかだろう、どちらにせよあの嬢さんじゃ勝てなくて殺される可能性もあるだろう。〉
「いやいやセルム様だぜそんな事しないだろう。」
〈魔神の行動を我ら程度が分かるはずもないだろう。〉
「仕方ねぇ。」
〈!?おいキューホリン何をするつもりだ!〉
「何って助けに行くに決まってんだろ。」
〈わざわざ危険を犯してまで助けたいのか!〉
「他に何か急ぎの用があるわけでもねえ、それにあの嬢ちゃんを見捨てるっていうのも目覚めが悪いからな。」
〈お前が死ぬ事になってもか?〉
「ああ。」
〈・・・ふっお前はそういう奴だったな。
お前はこの魔槍ニル・ボルガが選んだ相棒だ!
お前の好きな様にするがいい!
我も付き合ってやる!〉
「それじゃあ行くか!」
〈ああ!〉
キューホリンはセルム達に近づいていった。
「ちょっと待て。」
軽鎧の女が言う。
「なんですか貴方は?」
「俺か?俺はな」
そう言いながらキューホリンはフードを外す。
「っ!貴方は!」
「俺は黒き神殿の守護者のキューホリンだ。」
「キューホリン様!」
軽鎧の女は平伏する。
軽鎧の女はセルムの方を向きながら
「貴方なにやっているんですか!黒き神殿の守護者のキューホリン様よ!頭を下げなさい。」
セルムは考える。
黒き神殿の守護者?黒き神殿、黒き神殿・・・
俺の黒き神殿のことか?
「黒き神殿の守護者なんて作った覚えがないが?」
「はっ?貴方は何を言っているのですか?」
〈(っ!キューホリン!やはり魔神かその分体に違いない、知らないではなく作った覚えがないと言った。)〉
「(やっぱりか。)」
黒き神殿の守護者は黒き魔神セルムが眠っている時に創られた部隊の為セルムは知らない事をキューホリン達は知っていた。
「頭は下げなくていい。そういう堅苦しいのは好きじゃないからな。
それでお二人さん俺に免じて怒りを静めてくれねえか。」
「はっはい。分かりました。」
「俺もそれでいい、今日の宿を探さないと行けないのでなここで失礼させてもらう。」
そう言ってセルムは冒険者ギルドを出た。
「大丈夫だったみたいだな。」
〈短気じゃなくて助かったな。〉