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タローちゃんがラティファ王弟陛下だった件について

「ああ・・・ここはどこだろう?」


意識が戻った沙也は、ベッドの上で当たりを見まわしていた。見慣れたワンルームマンションではなくて、どこか別の所だった。


ワンルームより、ずっと広い部屋だった。20帖もある所にベッドが一つ。なんと天蓋付のベッドだ。沙也が気を失っている間に、ラティファ王子の強制的な権力行使によって、沙也を地下牢から、城の一室へと救い出していたのだ。


お姫様がいるようなベッド・・・


と思った瞬間、怒涛の記憶が押し寄せてきた。


紫の君に勇気を振り絞って話しかけたこと。何故か相手の怒りのツボを踏み、訳のわからない尋問をされた挙句に、首を絞められたこと・・・そして・・


タローちゃん!


はっとした。タローちゃん、無事だったろうか?


あの男の足にタローちゃんが噛みついたのは見えていた。心配で体が震えた。


・・・なんか、タローちゃんが可愛い子供の姿になったのは幻覚だろうか? 紫の君に「ラティファ」と呼ばれていたような? 子供姿のタローちゃんが、紫の君のことを「兄上」とか呼んでいたような気もしたけど・・・



ははは・・・


沙也は、力なく笑った。幻覚を見る程、酷く首を絞められたのか。


そういう時に、見えるのは、「三途の川」の幻覚が正しいのではないか?


本当に、タローちゃんが心配だ。それに、ここはどこだろう?


「サヤ!」


ドアが勢いよく、開いた。先ほどの幻覚でみた、タローちゃん子供バージョンの姿で、沙也の胸に飛び込んできた。


えええっ? あれは現実?


「サヤ、心配したんだよ。大丈夫だった?」


銀の髪の美しい子が、心配そうに、沙也の顔を覗き込んだ。ほっそりした顔立ちに、若草色の緑の瞳が可愛かった。


「タローちゃん?」


沙也の不安げな声に答えるように、天使のような顔で、スマイルを浮かべたその子は言った。


「うん。僕タローだよ。本当の名前はラティファって言うんだけどね。」


「・・・・」


沙也がぼんやりと、ラティファを見た。


「サヤ・・・」


( ラティファは不安になった。やっぱり、犬じゃないとダメだろうか?)


「うそ・・・」


サヤは、両手を口にあてて呟いた。


( やっぱり、犬じゃないから、可愛がってくれないんだ・・・)


ラティファは、眉を八の字型にして、しょんぼりと項垂れた。 兄上がすべてをぶち壊しにしたんだ・・


「うそぉぉぉ!超可愛い!!」


やばい、ラティファは可愛すぎる。きょとんとした表情はタローちゃんと同じだけど、子供姿のラティファも、めっちゃ可愛い!!!


もう鼻血でそう。いや、鼻血でるっ! 萌える!めっちゃ萌えてしまうぞっ。 


「うん。タロー、いや、ラティファ、可愛い!!可愛すぎる!!!」


沙也は、思わず、がばっと、ラティファを抱えて、柔らかいほっぺに、ちゅちゅっとキスをした。 どんな時もナデチュウは健在だ。


「ふふ・・・沙也、くすぐったいよ。」


ラティファが嬉しそうに笑った。


そうして、ふっと気が付いたら、扉の所に、もう一人男が立っていた。


ウェーブのかかった美しいブロンドに、青い瞳をした、超美形さんがそこにいた。以前、『紫の君』と一緒にいたことがあるので、見覚えがあった。



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