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プロローグ ~ 逃亡者

ミユ、一緒に逃げよう。


リュージュは、妻のミユの耳元で、必死になって囁いた。最近の魔王国は、権力争いが激しくなってきた。


「俺たちのようなゲートキーパー(門番)は、王族のターゲットになりやすいんだ。」


ゲートキーパーと呼ばれる特殊な能力をもつ魔族。 


それは、空間と空間をつなげ、時を支配し、正義の力を持つ者たち。クロノスと言う時を司る神から特殊な能力を授けられた一族だった。


魔族と言う魔力を纏う者が集う魔族の国では、魔力量がモノを言う。


そして、王族は、最強の魔力を誇る一族だ。そして、現魔王が交代することになれば、必ずや王位継承権をめぐって、血みどろの争いが繰り広げられるのだ。


クロノス神の力を授けられたゲートキーパーを得た王族は、王位継承権で圧倒的に有利になる。


「そうね。今の情勢を考えたら、逃げたほうがいいかもしれない。」


ミユも同じ考えだった。正義を司る神力を、政治の駒に使われるなどまっぴらだ。


それに・・・ミユはお腹の中にいる子に思いを馳せた。


ゲートキーパー同志の「つがい」から生まれる子。普通、ゲートキーパー同志では、番にはならない。その例外中の例外が自分たちだった。


ゲートキーパーとして最強の能力を馳せるリュージと、それに近い能力をもつミユ。二人は、惹かれあい、お互いに結ばれた。生まれてくる子が、史上最強のゲートキーパーになるかもしれないと言うリスクは、常に承知していた。その子の能力は、きっと神に近いものになるだろう。


王族がそれを放置するとは思えなかった。絶対に、目を付けられるだろう。そして、王族の血みどろの争いに幼い子が巻き込まれるなどと言うことは、絶対に避けなければ。


ミユも、同じ様に感じていた。


―― そうね。お腹の子が産まれる前に、逃げておきましょう。


二人は簡素な身支度を整え、空間のゲートを開いた。持っていた魔力で、自分たちの姿を変えた。黒髪、黒い瞳、移住先の国に馴染めるように。


生まれてくるこの赤ちゃんの安全のために・・・


空間を開き、その中へ二人は身を投じた。平和で、安全な国へと―




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