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作者: 要彼方

あなたは覚えていますでしょうか。

転校生だった私に、あなたは優しい笑顔で微笑みかけてくれましたね。

2009年9月20日。

空にかかる雲が、まるで洗濯板のようにでこぼこと広がる季節に私はあなたと出会いました。

友達もできず、ふらふらと屋上の扉を開けた私の姿を見て、あなたは驚いたような困ったような、そんな顔をしていました。

屋上の隅で、何を思っているのか。

グラウンドを走り回る生徒を静かに眺めていましたね。

こんなところで、1人で何をしてたんでしょうか。

そんなことをぼんやりと思いながらただ静かに佇むあなたは、まるで子供のようでした。

「ひとり?」

沈黙に耐えきれず口を開いた私に、あなたは無言で頷きました。

時間は夕方の16時。

放課後の空は、オレンジ色の絵の具を叩きつけたような色をしていて。

夕陽に照らされたあなたの笑顔が眩しくて、私はあなたに恋をしたのです。

これが、あなたと私の初めての出会いでした。


その日からというもの、私は自然に屋上に向かうようになりました。

友達がいなくても、親友がいなくても、屋上にいればあなたがいる。

それだけで毎日が輝いていました。

「今日もいた」

「君もね」

私たちが交わす会話は、いつも一言二言で。

ただ黙って沈む夕陽を眺めて。

それだけでした。

それだけのことが私にとっては幸せだったんです。



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