∞、殺戮世界物語、開幕。
=∞=
期待通りの愉しみ、期待外れの愉しみ。
二〇一三年、四月十日、真夜中午後十一時五十九分。
繁華街から少し離れた公園に――俺は独り佇む。
この行為に理由がある訳でも無く。
俺はこの理由無き行為に、何も考えずただ没頭する。
静寂だけが、この場所を、他の喧噪の場から隔離させる。
空は雲一つ無い。なのにどんなに見渡しても月は顔を見せない――新月の夜。
風も無い。葉は皆何も語らない。
本当に――――何も無い世界。
目を夜空へと向けてから、ゆっくり瞑った。
「――――――思考開始」
何か。
―――何か愉しい事は無いだろうか。
―――面白い出来事が、俺の世界に起きてはくれないだろうか。
一つの期待を抱いてみる。
だが期待は外れるモノだ。期待が外れるからこそこの世界は愉しい。全て上手くいってしまうのは逆につまらない。
愉しい世界を期待して。
けれども期待は外れる。
つまり期待通りだろうと期待が外れようと俺は愉しめる訳だ。
――全てシナリオが組まれてしまっていて。ただそれを追うだけの世界は実につまらない。
だから、俺は――――
――小さな公園という隔離された空間の時計は、カチッと針を動かして。
四月十一日、午前零時を示した――――。
さぁ、思考開始といこうか。