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第4話 「迷宮、見つけました。」

ダンジョンをみつけちゃった一行。やはり探索するようです。

ルカンドの街を出たシンジ達は、荷運びの動物達と街道沿いをのんびり歩いていた。

この街道は砂漠のほとりの街道だけど、まばらに草も生えている。旅人のために水源が近い場所を街道として整備し、旅人はそこをたどるときに草の種などを撒くことを習慣にしている。旅人達の暗黙の協力ルールだ。

そうやって生えた草を、休憩中の扉カタツムリがもそもそと食んでいたりする。

扉カタツムリの飛び出していてもつぶらな瞳(どこを見ているのかさっぱり分からないほど真ん円)は元気よく振られている。

どうやらうれしいときの動作らしい。


「動物との旅って意外と癒されるものなんだね・・・」


カーゴハウンドの立ち姿といえば狼のたてがみが風に揺れて柔らかそうで、とてももふもふである。

馬車を引いているので、今この場でもふもふするわけにはいかないが。慣れたらもふもふさせてくれるだろうか。


しばらく行くとルミがやや街道から離れた場所に遺跡らしい、瓦礫が集まっている場所を発見した。

この世界ではダンジョンがランダムに発生する。VRMMO時代の無限種類ダンジョンの名残らしい。

見つけた者にレベルを合わせて発生する仕様だったと記憶している。

地元の人々は”さまようダンジョン”と呼んでいた。

強さはまさにランダム。力の足りないものには難易度の高いダンジョンは見つからないのだという。

それにしてもこの距離から見つけるのだから、ルミは目がいいのだろう。


「あそこのダンジョン、すこし潜ってみませんか。ダンジョン情報だけでもお金になりますし、良い埋蔵品があれば役に立ちます」


「ルミはこの距離から良く見つけたね・・・いっちょ潜ってみようじゃないか。かまわないよね? シンジ?」


「かまわないけど・・・潜っている間の動物達の世話はどうするの?」


至極尤もな話である。無人の場所に動物を放置。普通ありえない。

普通、知れたダンジョンであれば入り口に人が集まって預かり所とかを形作っているものだけど、新しいダンジョンではそれもない。


「ここはエルフのまじないでやり過ごせばいいわ。人払いと魔物除けだよ。【コンシールシェル】【効果時間延長10倍】」


「えげつないスキルの重ねがけ・・・これなら安心だね。ポチもシロもクロもブチも、あと・・・にょろとにょろりもおとなしくしているんだよ?」


尻尾振り振り×4。つぶらな瞳振り振り×2。良い子のようだ。それと名前は非常に月並みな名前になっていて申し訳ない。思い浮かばなかったんだ。特にカタツムリなんて。


魔法に疎いルミとルチアの頭にはたくさん「???」とはてなマークが浮かびまくっている。

ここは全部エルフの謎文化のせいにするのが得策なのだろう。


「ほら、エルフは森の中で生活できるから、こういうスキルが発達してるんだよ」


あまり納得はしていないようだが、それ以上ツッコミはしてこなかった。まぁここはそっとしておこう。


ちなみに、このランダムダンジョンが珍重されるもうひとつの理由があった。

砂漠が多いこの土地で人類が生きていける理由のひとつでもあるが、このダンジョンではモンスターが一定時間を置いて無限に沸くのである。

そしてモンスターはいろいろな生活必需品をドロップする。モンスターの種類によって落とすものは異なり、とある砂漠のど真ん中のダンジョンでは、新鮮な魚が特産品というのだから笑ってしまう。

また、野外のモンスターとダンジョン内に沸くモンスターには決定てきな違いがあり、ダンジョン内のモンスターは倒されると屍骸が残らず、煙となって消えてしまうのである。

一説にはこのダンジョン自体がモンスターであり、好物である人間を引き寄せるエサとしてモンスターを擬似的に発生させたり、撒き餌として生活必需品をドロップさせているという。というかミカエラがそういう風に教えてくれた。

ダンジョン内で全滅すると骨も残らないのはその仕様のためらしい。

ゲームと違って・・・死は隣りあわせで取り返しがつかないものであると実感できる。


パーティは前衛にルミ、斥候としてミカエラをツートップにし、半ばにルチア、最後にシンジ。このフォーメーションで進んでいく。

途中、モンスターがでたらルチアとミカエラが入れ替わり、ミカエラは後衛として弓を使う予定だ。


このダンジョンの上層は植物系のモンスターが多かった。ドロップするものも自然と植物由来のものが多くなる。オリーブスローターというパチンコの親玉みたいなモンスターが落とすのはオリーブオイルなのだが、なぜか瓶詰めでドロップされる。瓶は何処から出てくるんだ。何処から。

順調にオリーブオイルやら小麦袋やら大根やらを集めつつ、BOSS部屋を探し当てた。

BOSSは何だろう。


「中からは複数の気配があります。群れボスという奴なのでしょう。少々手はかかりますが多分強さはそこまでないと思います。わたしとミカエラ様でまず飛び込みますから、ルチア様とシンジ様はそのあと入ってきてください」


「わかった」「承知や」


「了解。タイミングを計ってはいるぞ・・・それ!」


謎のツタ植物のご登場である。部屋中のたくっていてかなりの大きさを誇っている。

サーチしてみると名前が出た。どうやらビッグペッパーというらしい。多分コショウをドロップするんだろう。名前からして。

レベルは180。BOSSだけあって割と強い。複数の気配を感じたのはこのBOSSが複数の部位を持っているかららしい。

複数部位のあるモンスターは格闘技などで投げられない。部位を1つにすれば投げられるらしいが。


「複数部位持ちとはね。これは皆で囲もうね?」


ミカエラがこっちに振ってくる。ルチアとルミも配置済みだ。あとはシンジがポジションにつくだけ。


「魔法のままでいいのかな? 持ち替えようか?」


「シンジはそのまま的になってて。回復魔法と補助魔法だけ皆にかけてくれればそれで大丈夫だから」


ミカエラの指示に従う。全員武器で戦闘してしまうと回復役がいなくなるからだ。

そのかわり4部位もある敵なので、ひとつはシンジが気を引くために相手をする。

ビッグペッパーの攻撃は蔦による体当たりだ。かなりぶっといので当たると衝撃がすごい。

シンジの【オートプロテクション10:範囲】が発動しているのでパーティメンバーには【プロテクション1】の効果がかかっており、皆被弾しても比較的軽傷で済んでいるが、さっきからがんがん当てられてるルチアは何もなければ多分倒れているかもしれない。


「【キュア】! ルチア! あんまり無理しないで!」


シンジが回復魔法でフォローする。シンジやミカエラがあまり手を出さないのは実は理由がある。

モンスターを倒すと経験値が手に入るのだが、獲得する経験値はダメージを与えた量に比例する仕様になっている。クエスト報酬経験値のようなものに関しては参加したパーティメンバー全員に公平に分配される仕様だが。なので、モンスターを倒す場合は積極的に下のレベルの人間に倒させるようにしている、というわけだ。

ちなみに、レベルとスキルにはあまり関連性がない。

魔力などはレベルに左右されるものの、一部のレベル制限スキルを除き、クエストをクリアすればスキルは手に入るのである。

このへんの仕様もあって、レベルが低くてもスキルのおかげで強い者も理論上可能になっている。


「よし、この部位は倒したから、次はシンジ様の前ですね!」


ルミは順調だ。回避性能が高いことに加え、一撃がでかいロングソードを装備しているからだ。

バランスをとるためにシンジはルチアにエンチャントをかけた。


「鋭さよ刃に宿れ【鋭き刃3】」


これでルチアのシミターの攻撃力がアップした。


「ルチア! 切れ味があがっているから注意して!」


「えっ!? 承知やけどっ! あーもう、しつこいっ!!」


連打してくるツタに、ルチアのシミターが炸裂する。いままで歯が立たない雰囲気だった蔦がすぱすぱ切れていく。これでルチアが攻撃していた部位も沈黙した。


「いきなり切れ味上がった・・・シンジ、すごいスキル習得しとるんやね。今度どこで教えてもらったのか教えてや。ウチももうちょいまじめに勉強したほうがええようや」


「いやあ。いまはもう教えてくれるところは無いんじゃないかな・・・ごめんね」


「じゃあ、シンジが教えてくれればええよ。よし、シンジどいてや! 最後はそこだけやさかい!」


他の部位を牽制していたシンジと場所を入れ替わり、切れ味が増したシミターでばしばし部位にダメージを蓄積させていくルチア。ルミの活躍もあり、程なくビッグペッパーは沈黙した。

煙となって消えた後、ドロップ品が残った。袋詰めのコショウのようだ。ご丁寧に「お徳用!! 容量:1kg」とでかでかと書かれている。


「お徳用コショウ、やて。なんやけったいなドロップやな」


お徳用。つまりかなり量がある。品物としてはそこそこの価値がありそうだが、シンジ達は自分達で使うためにとっておくことにしていた。


「これで肉料理もおいしくいただけるようになりますね。」


ルミはルチアからお徳用コショウを受け取るとうれしそうにリュックにしまいこんでいく。料理が好きなルミにとっては良い品物だったようだ。


「これで一通りはこのダンジョンを制覇したみたいね。マッピングもシンジがきちっとやってくれたみたいだし、まとまった情報はギルドで売りましょう。食材メインのダンジョンだったからけっこう高値で買ってくれると思うわ」


羊皮紙に最後の部屋の情報を書き込むシンジを見つつ、ミカエラもそこそこの結果に満足できているようだ。


わりと短時間で戻ってきた一行は隠していた動物と馬車を回収し滞りなく街道を進んでいく。

その後もエンカウントしたランダムモンスターを威嚇だけで追い払ったりしながら、次の街シュバリクにたどり着いた。


「シュバリクの門が見えてきたね。とりあえず宿を探して埃を落としてから街を散策してみましょ」


ミカエラの言葉に皆がうなずき、門番へ入門の手続きのため近寄っていったのだった。

戦闘シーンはやはり難しいですね。。。

次はもうちょっとがんばりたいと思います!

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