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第22話 「旅に、出ました。ふたたび。」

いつもご覧頂ありがとうございます。

さて、準備を終えて次の街に出発したシンジたち。不穏な空気とともに出発することになりそうです。

シンジ達がキャラバン出発の準備を始めて1ヶ月がたった。

新しく加わった狐人4人娘も店番、ハウスキープと板についた仕事をし始めており、まずはよろづ屋の日常は安泰な雰囲気である。

そして、シンジ達の旅の準備も既に終わっており、あとはいつ出発するかを決めるだけだ。

今回の旅で最終的に目指すのは最東端の大都市アンキア。アンキアまで到達したらそこから先はまたそこで計画を立てる。そこから北廻りでも良いし、一度クファンに戻ってから西に進路を伸ばすのも良い。


一緒に旅をするメンバーの今のステータスはこんな感じだ。()内は隠し要素である。


・シンジ・スエナガ (♂、110歳)

 種族 :ハーフエルフ(電脳神)

 職業 :魔法剣士

 LV :150(1500)

ギルドランク:F

主な装備:エルブンセット、魔道スタッフ

特殊能力:-(世界の理、神通力、無詠唱、スキル付与、スキルマスター)

賞罰称号:スキルマスター、クエストマスター


・ルミ(♀、16歳)

 種族 :狼人族

 職業 :奴隷/所有者シンジ・スエナガ、(獣の騎士)

 LV :160

ギルドランク:F

主な装備:竜騎士の鎧、騎士の剣

特殊能力:狼の鼻の良さ、獣化

賞罰称号:竜の許、獣の神の使徒


・ルチア・サンタマリア (♀、20歳)

 種族 :ヒューマン

 職業 :行商人

 LV :155

ギルドランク:E

主な装備:ソロバン、軽戦士セット

特殊能力:暗算、目利き、交渉上手

賞罰称号:竜の許、キャラバンの右腕


・アーシェラ(♀、16歳)

 種族 :猫人族

 職業 :獣の巫女

 LV :160

ギルドランク:D

主な装備:巫女服、破邪の剣

特殊能力:猫の瞳、忍び足

賞罰称号:竜の許、獣の神の使徒



そして、さらに一緒に馬車を引っ張る頼もしい旅の仲間たち。


1号馬車(中型、2頭立て)

 にょろ(扉カタツムリ)

 にょろり(扉カタツムリ)

 積荷:パーティの道具


2号馬車(大型、4頭立て)

 ポチ(リフトハウンド)

 シロ(リフトハウンド)

 クロ(リフトハウンド)

 ブチ(リフトハウンド)

 積荷:交易品(シルバートラウトの燻製、オイル漬け)



こうして準備を終えたシンジ達が久しぶりの交易出発出口にやってくると、そこには小規模な出立パーティがかなりの数待機していて、人ごみでごった返している状態だった。


「今日は混んでいますね、シンジ様。」

「普段より若干多いんとちゃうかな?」


ルチアは市場に良く顔を出しているので、この辺も毎日通りかかるらしく、普段の状況をよく知っている。


「”なにかあった”としか思えない状況だけど、とりあえずその辺の人に聞こうか? もしもーし。あのー?」

「はい? なんですか?」


捕まえたのはシンジ達と異なり、討伐や探索がメインの冒険者のパーティだ。


「今日はちょっと出立するパーティの数が尋常じゃない気がするんですけど、何かありましたか?」

「ああ、冒険者ギルドから調査の依頼が沢山出ていてね。細かく沢山の指定場所でのモンスターの発生具合を報告してほしい、てやつだ。見渡せる範囲の殆どが冒険者のパーティじゃないかな。ワリもなかなか良いし、商人たちでは請けられない仕事だし、ってところだね。城壁が開門され次第、すぐに出発するだろうから、暫くは渋滞するはずだぜ。お前さん達商人は急ぎで無いなら少し遅れて出発すれば良いんじゃないか?」

「そうでしたか・・・ありがとうございます。ちょっと遅れて出発することにしますよ」


冒険者から離れ、顔を付き合わせるシンジとルチア。


「ミカエラからも聞いていたけど、多分”大海嘯”の調査に間違いなさそうだね」

「せやな。旅に出るうちらも危ないけど、残された連中も危ないんとちゃうか・・・」

「こっちはミカエラが居ればまぁ、大丈夫だと思うけど。アムフルスは危ないな。オリビアに頼んでおくか・・・」

「オリビアはんも単体ならごっついからな・・・ウチらはシンジはんに期待しとるで?」

「了解。任しておいてよ」


そっとルチアと会話した後で、シンジはオリビアに念話を飛ばした。留守中のアムフルスの防衛をお願いするためだ。


<オル、聞こえるかい?>

<はい、シンジ様。なんでしょう?>

<”大海嘯”が起きそうなんだけど、アムフルスの皆が気になって・・・ミカエラはクファンの防衛で手一杯になると思うから、アムフルスはオルにお願いできないかな?>

<構いませんが・・・おそらく変身しないと厳しい情勢になりますよ? 人型は無力ですから>

<アムフルスの皆には秘密でやってくれるかな。正義の竜としてはやっぱり正体を隠すのが美徳だし>

<良くわかりませんが・・・正体を隠すのは当然ですから、その作戦で行かせて貰います。転移陣は勝手に使ってよろしいですわね?>

<ああ。うちの住人の魔力は既に全部登録済みだから好きに使ってくれるといいよ>

<了解しましたわ。では、有事にはそのような手はずで>

<宜しく頼む>


アムフルスの手当ても目処がついたあたりで出入り口が空いてきだした。いよいよ出発。リフトハウンドは力強く4頭立ての大型馬車を牽引し、扉カタツムリはうれしそうに目玉を揺らしながら結構な速度で馬車を引く。比較的綺麗に整備されたアンキアへの街道を一路東へ出発して行くシンジ達であった。



・・・

・・・・・・



-商業ギルドにて-


「冒険者ギルドからの通達と調査依頼は始まったようね」

「はい。今日はかなり沢山のパーティが全方位へ出発したはずです。明日には近場の、遅くとも5日のうちには都市境界の内側までは状況がわかる筈です」

「そうか。で、例の”金の風”はどうした?」

「彼らも出発をしましたが、冒険者ギルドの依頼とは無関係なようです」

「純粋な行商か、仕入れというところか?」

「おそらく。先日から彼らが売り出した高級保存食が結構な人気なようで毎日売り切れているようですから、仕入れの拡大が目的ではないかと」

「それだけが目的かどうかは追々判るだろうな。そうそう、新製品の発売の時には試供品をギルドにも付け届けするように言っておいてくれないか。売り切れでいつも購入できなくて困ってる、というのも付け加えてな。あの”燻製”は蒸留酒に良く合う」

「承知しました。が、ギルドマスター。くれぐれも飲みすぎにはご注意下さい。いつ有事があるかわかりませんので」

「ああ、大丈夫さ。これでも酒には強いほうなんだ」

「今度は私もお誘いくださいね」

「ああ。」



・・・

・・・・・・



クファンを出発して2日目。砂漠のほとりの街道を走っていたシンジ達は交戦中のキャラバンを発見した。4人のパーティのようだが、かなり大型の魔物を相手にしているように見える。距離にして500mくらいか。ダッシュすれば助太刀に入れるはずだ。


「ルミ、アーシェラ。助太刀しにいくぞ。ルチアは後方で待機。負傷者が出たら回収と手当てをたのむよ」

「わかりました」

「承知だニャ」

「了解やで」


全力移動、接敵。冒険者達が戦っていたのは砂に潜む大型の魔物、サンドワームだった。


「助太刀するぞ! その魔物は固まってると体当たりしてくるから適度に分散するんだ!」

「お、おう、助かる!」


サンドワームは砂漠地帯にはびこる強力なモンスターだ。砂の海をうねりながら移動し、通りかかる動植物をその大きく広がる口腕で捕らえて丸呑みにする。大きなもので直径10メルテ、体長30メルテに達する巨大な魔物である。そして、あまり知られていないが”大海嘯”の主要モンスターでもある。

そんなサンドワームの比較的小型な体長8メルテ程度のものが2匹、砂漠の縁の街道を走るキャラバンの馬車を襲っていたのであった。


「へえ、サンドワームか。食材にもなるし倒し甲斐はあるな」

「えっ、シンジ様、あれって食べられるんですか?」

「食べれるけれど、簡単に倒せるものでもないニャ。食べられることを知っている人もすくないニャ」

「アーシェラの言うとおりだね。よし、ルミは僕といっしょに前衛で時間稼ぎ。アーシェラは【ブレス】をしたあと、彼らの応急手当に回ってくれるか。」

「承知ニャ。獣の使徒が請い願い奉る、彼の者に祝福を!【ブレス】」

「おにーさんたちは一旦下がって!! サンドワームに良く効くアイテムがあるんだ!」

「おお! 助かる!! じゃあ一旦馬車の陰に退避するから後を頼むぞ!」


4人のパーティはすぐに馬車の後ろに回りこみ息を潜める。サンドワームは呼気を目指して押しかかってくるとされているからだ。と、目標が居なくなったサンドワームの目に前に淡い光に包まれたシンジとルミが踊りでる。このサンドーワーム、直径も1メルテ程度あり、かなり大迫力で迫ってくる。油断なく盾を構えるルミを横に、シンジは高速詠唱を開始する。

シンジをカバーするようにルミが盾を構え、衝撃に耐える姿勢をとる。


「大いなる海の生み出しし息吹の波をここに喚び興さん! 【タイダルウェイブ小】!!」


盾を構えて油断なく戦闘態勢をとったルミの目の前に突然水の壁が立ち上がり、サンドワームへ向かっていく。そのまま圧倒的な質量でサンドワームごと押し流すと砂丘のくぼみにそのまま流れ落ち、そのくぼみを束の間の池と化す。


「し、シンジ様っ、この魔法は!?」


ルミが唖然とした顔でシンジを見る。無理も無い。砂漠で水を喚び出すことの難しさは周知だ。


「召喚魔法【タイダルウェイブ】。遠くはるか海から呼び出される大きな波さ」

「そうですか・・・でもすごい迫力でした。えっと・・・【タイダルウェイブ】・・・? 以前に白銀の竜が使った魔法ですか・・・?」

「すごいね、ルミ。覚えてたんだ。同じ系統のスキル魔法だけど、出力が低い方さ。あの時は最大出力で放たれていたから、ここで同じ出力が顕現すると僕らまではるかかなたに押し流されちゃうからね。それに、サンドワームの弱点って塩水なんだ。ほら、もうそろそろ倒せるよ?」


ルミがにわかに出来た池に目を向けると、それまで苦しげにのたくっていたサンドワームが大人しくなっていた。水底に沈みピクリともしない。


「塩水で身体を覆う粘膜をやられて、内部に保護していた空気が全部逃げちゃうんだ。そして比重の重い体ではうまく水中を泳ぐことができずに窒息死しちゃう、という感じさ。このサイズだからまだこれでいけるけど、最大サイズのサンドワームには沈めきれる池を作れないという理由で通じない手段だから、対処法が変わるけどね。さ、そろそろ池から拾い上げて解体しようかね」


サンドワームが沈んだ池の水がだんだんと周りの砂山に吸収されて引いていき、残されたサンドワームを解体する作業にかかる。

モンスターの一部も食材になるものがあって、サンドワームはそのひとつ。堅い皮を取り除いた内側の肉がおいしいらしい。筋肉の塊であるこの魔物はたとえると鳥のささ身のような味わいなのだとか。

外皮と内臓を取り除くとアイテムボックスへ収納してしまうことにした。


「さて、これが終わったら情報収集かな・・・」


手を止めずに避難してもらったキャラバンの4人のをうを見やり、シンジは一人つぶやいた。

そこには、おそるおそる馬車の陰から這い出し自分達が助かった安堵とものすごい攻撃を目の前で見てしまった驚きがまざって不思議な顔をした4人がいたのだった。


砂虫・・・実際の砂漠に住んでいるのはちっちゃい虫くらいだそうですが。

どうしても大型魔獣として出したくなりますよね、サンドワーム。竜族ではないようですが、結構力強そう。今回相手にしたのはまだまだ赤ちゃんだったということで。

次のシャナディまではもうすこし時間がかかりそうです。

また・・・なにかに巻き込まれる気がしますね?


では、また次回に!

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