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第15話 「屋敷、掃除中です①」

ご覧頂きありがとうございます。

購入した屋敷を掃除し整備することにしたシンジたち。

どんな拠点が出来るのでしょうか。

 少し長いので分割しています。


ギルドでの手続きも終わり、無事に拠点を手に入れた一行。早速掃除をしに行くために商業ギルドを出た。

途中、訓練所に立ち寄りルミとアーシェラも合流し、目抜き通りの十字路の脇にある小道からから裏路地の勝手口にまわる。裏路地からでも2階建てである屋敷の大きさはよくわかった。


「ご主人様・・・これは・・・大きいお屋敷ですね・・・」

「おいらの寝床は狭い部屋でいいニャ。できれば二階がいいニャ・・・」

「まずは中を綺麗に掃除してからだね。皆手伝ってね?」

「「「「「はーい」」」」」


良い返事。まずはシンジが屋敷の裏口の鍵を開け土間に入る。そこにパーティメンバーが

続く。シンジがアイテムボックスから掃除道具を取り出すと、パーティ全員で取り組む大掃除が始まった。


掃き掃除に拭き掃除。壊れている箇所はピックアップし、後で修理を検討する、という段取りだ。2階から始まった掃除は順調に推移し、一番汚れていた応接室の掃除に差し掛かったその時。撤去のために剥がした絨毯の下からそれは見つかったのだった。


「シンジはん。なんやここに扉が埋っとるで。ギルドからの説明にこないな間取りはあったんか?」

「いや・・・図面にもないし、説明も受けなかったね」

「ねぇ、シンジ。ここって事件が起きたっていう部屋だったわね。なにかこう、嫌な予感しかしないんだけど・・・?」


床下にあった扉を開けると、そこには地下への階段が隠してあった。中から風が吹いてくるところを見るとどこかに繋がっている可能性がある。


「とりあえずカンテラ片手に降りてみようか? ”想定外に部屋が増えて良かったなあ”ってことでさ」


シンジは気楽なもので、ひょいひょい入って行ってしまう。

残りのメンバーがあわてて武器装備を準備する中、シンジは地下室に到着した。見回せば大きさは20畳ほど。大理石製らしい柱がけっこう密に配置されており、元々は倉庫であったことが伺える造りである。しかし、今目に入るのは既に力を失ったらしい古ぼけた魔方陣であった。


「魔力は残滓しか感じられないけど、これ、多分ゲートの跡だよね・・・」

「接続先は陣が擦れてしまって読めないところのほうが多いのでまったく不明ですけど、間違いなくゲートの跡ですね。。。幽霊騒ぎのの正体も本当はこれだったんじゃないでしょうか。ミクもそう思いませんか?」

「オルもそう思う? シンジはどう? さすがに消えた部分が多い魔法陣の解析までは出来ないでしょうけど」

「幽霊騒ぎの原因だった可能性は非常に高いね・・・まぁ、ここはそのまま転移の部屋にしちゃおうか。すごく広いから工房もここに作らせて貰うけど」

「工房と転移陣のセットね・・・荷物の運び込みも考慮できるし、良いんじゃないかしら」


それ以上は地下室では何も見つからず、掃除は続き、2階が終わり、地下室が終わり、応接までは掃除が終わったが、販売スペースとストックルームの掃除を残して夕暮れを迎えてしまった。


「じゃあ、今日はここまで。一旦宿に引き上げて明日からの作業分担を練ろう。」

「「「「了解です」」」」



・・・

・・・・・・



旅の宿木亭に戻ってきた一同は夕食をとりながら明日の作業の整理をしていた。

頼んだ夕食はアリア川特産のマスを使ったマリネの大盛りである。


「モグモグ、魚は久しぶりだけどおいしいね」

「さすがにこれはアリア川に近くないと手軽に食べることは出来ませんね」

「砂漠の国だもんね・・・ふむ、魚を扱うならキッチンにはやっぱり大きな流しが必須だなぁ」

「キッチンが広いと仕事がしやすいです」

「おいらは魚がいっぱい食べられれば幸せだニャ」

「料理は・・・おまかせします・・・」

「キッチンはそれで良いとして、お店の間取りとかも考えないとね」

「せやせや。売る物とかよう考えひんかったな・・・」


話し合った結果決まったのは次のような改築案であった。


・地下室はシンジの実験室。改造はシンジにお任せ。

・二階は大広間をみんなのリビングにして、後は一人一部屋。余っている部屋はそのまま空き部屋に。

・接客用リビングは接客用でなくし、事務所スペースに。地下室への階段は常時開放。

・事務所スペースは書斎に。シンジの部屋になる予定。

・ストックスペースの端に階段を設け、直上の廊下に繋いで2階への昇降階段を一つ増やす。

・販売スペースはいまのところ空き。屋敷の整備が終わるまでに売り物を考えてから内装工事を行う。

・キッチンは(かまど)を3つ設置する。外部に煙突設備を増設して換気を良くさせる。

・全部屋共通で上水の整備。屋根裏に雨水タンクの増設と、湧き水の魔道具を併設し水源とした。下水は整備しなおして下水溝からネズミなどが遡ってこない設備を増設する。

・屋上を増築してひもの作成スペースにする。(とりあえず一夜干しが食べたいとシンジが熱望した)


以上、おおまかな改造案である。


「じゃあ、明日は掃除の続きと可能であれば改造工事の着手を予定します」

「あの・・・掃除は良いのですが、工事は誰か雇わないとダメなのでは・・・?」

「ルミ。大丈夫。まーかせて。僕のスキルの多彩さをお見せしよう。皆も楽しみにしててね」

「でっていう・・・」

「期待しとるで」

「じゃあ、今日はゆっくり休もう」



・・・

・・・・・・



翌日は予定より早く掃除が終わり、いよいよ部屋の内装工事を実施するということで内装の相談に皆が集まった。


「それで、シンジ様。まずは何処から着手されますか? 資材も職人もいませんけど・・・」

「まずは足元から始めないとダメだから、下水に着手しようか」

「はぁ・・・下水ですか・・・」

「土木工事の経験なんかみんなニャいんじゃないのかニャ? シンジは経験者かニャ?」

「素材はアイテムボックスに入ってるし、クラフト系のスキルも全部習得済みだから造作も無いことさ」

「くらふとけい? すきる?」

「・・・スキルマスター恐るべし、というところね・・・シンジ、その能力は異常だからあまり他でやらないでね?」

「了解。じゃあ、皆、いまから見せるのは内密に。 まず銅とニッケルの原石から白銅のインゴットを【合成】しつつ、同時起動で銅と亜鉛の原石を混ぜて真鍮のインゴットを【合成】!」


ゴトゴトゴトッ。1本10kg程の白銅と真鍮のインゴットがそれぞれ20個ずつ地下室の一角に山積みになる。

見ている面々はミカエラを除きみな目が点状態である。


「それから真鍮で下水管を生成して白銅でコーティングを実施する・・・【鍛造】【メッキ】!」


今度は太めの金属製の管が生成されこれまた地下室に山積みになる。横を見ればインゴットがごっそり減っている。【鑑定】が使える者の目で見れば、真鍮が全部なくなり、白銅が半分になっているのがわかるだろう。


「ふう。これで下水管は準備完了。ついでに上水道のための金属管を生成しとくか・・・【鍛造】」


またしても金属製の管が山積みになる。今度は先ほどに比べ細い管である。白銅のインゴットが全てなくなっているところを見ると上水道用の金属管は白銅で作ったようだ。


「よし。それじゃこれを埋設していくとするか・・・みんな、運ぶのを手伝ってくれる?」

「あ、はい。頑張って運びます・・・っと、重いです、ねっ。」


再起動したルミが率先して下水管を担ぐ。レベルと基礎能力値が上がっているので、なんとか持ち運びができるようだ。

まずは2階に上がると洗面設備やトイレを設置する予定の場所に下水管を運び込み、シンジがそこで別のスキルを発動させる。


「【増築】っと。良い感じに埋設できたな。続けて床下にも【増築】。よし、この感じで下水管を全部繋げよう」


設備構築用のスキル【増築】を使って下水管を1階と2階をはさむ床スペースに埋設・固定していく。このスキルの良いところは床面などを一度剥がす必要も無く、通常であれば出るはずの廃材も出ないところだ。

ひととおり下水管を埋設し、全てを繋ぎ終えると最後に外部の下水管に繋ぐところにネズミ返しの設備を追加して、下水の工事は終わりである。労働としては金属管の持ち運びだけであった。

同様に上水設備の工事も行い、雨水升と湧き水の魔道具もしっかり天井裏に設置した。これでどの部屋でも一応は水が使える。


「驚愕の水周り設備やね・・・王侯貴族よりも贅沢かもしれへんで・・・」

「まぁ、このことは内密に・・・ね。」

「いうたところで信じてくれる輩がどれだけおるかはなはだ疑問やけどな・・・」

「次は・・・とりあえず寝床の確保ということで寝室から整備しようか」


綺麗に掃除が終わった二階に上がったシンジはそれぞれ各人の個室に回っていく。


「ここはルミの部屋か・・・さて。ベッドはどんなのが良い? 机と椅子はいるかい?」

「えっと、ベッドはシンプルなので良いです。机椅子は要りません。クローゼットはあるみたいですから、装備はそこにしまえます。」

「了解。じゃあシンプルベッドを出して・・・配置。」


シンジはアイテムボックスから白いシーツ、白い掛け布団のベッドがひと揃え取り出し、部屋に設置した。スキルで設置していくシンジの目には設置場所がフレームで見えるから、綺麗に設置するのも楽なものだ。


「んじゃ、ルミ、寛いでいてね。次はアーシェラね」


アーシェラ、ルチア、オリビア、ミカエラ、シンジの順番で個室を回り、それぞれに希望のベッドを置いていく。アーシェラは地中海風、ルチアはピンクのフリフリつき。ミカエラはハワイアン風を選び、オリビアはシックな黒を基調とした天蓋つきのベッドを選んだ。最後にシンジは取って置きのベッドを自室にセットした。禁断のカルビ弁当柄のベッドである。


「見た目はうまそうな柄だけど、実際寝ちゃうと弁当に一緒に添えられた食材に成り下がるのが欠点なんだよね・・・」

「なんでこないケッタイなベッドもっとるかねぇ・・・」


隣で手伝いをしていたルチアがつぶやく。至極尤もではある。


「こういうの柄ものってイロモノとかいうんだけど、結構面白いから沢山もってるんだよね。こういうの沢山置いてそういう宿にするのも良いかも・・・」

「いや・・・それはやめといたほうがええで・・・多分見物客にしか需要ないで」

「残念だな・・・」


商売参謀の言うことは尤もである。ひとまず宿屋計画は見送られ、寝る場所の当座の確保を終えることができた。

次の作業は調度品の検討である。オリビア、ミカエラで壊れてしまった応接の家具の下見、ルミとアーシェラ、ルチアで販売スペースの寸法調査と売り物・ディスプレイの検討をやることにした。シンジは一人でキッチンの魔改造である。


「さて、まずは竈の改造からかな~。ふつうに薪の竈だと温度調整厳しいから、薪使用と魔石回路の併用にしよう。元の奴を撤去して魔石の3連竈を設置して、と。よし、完成。」

「シンジ、応接用の家具は良いのが無くて絨毯だけ購入してきたわよ・・・って。何その古代魔道具(アーティファクト)級の竈・・・。」

「いやいや、ミカエラ、まだまだこれからさ! ”コレクターキング”と”スキルマスター”の称号は伊達じゃないぞ!」

「あまりやり過ぎない程度でお願いするわ・・・」

「さて、次は保管用の冷蔵・冷凍庫を設置するか・・・。大型冷蔵庫を3つ並べて、取り回し用に中型を一つ設置・・・OK、と」

「シンジはん、売り物をだいたい決めたで・・・って。なんやそのごっつい大きな白い箱は?」

「ああ、ご苦労さん。こいつは冷蔵庫。食品とかを冷え冷えに保管する魔道具さ。”停滞”の時魔法もかかってるからいつまでも新鮮なままだぞ?」

「そんな機能のある道具って・・・古代魔道具(アーティファクト)やんか・・・呆れるでほんま」

「で、ルチア。冷蔵庫のことはいいから、売り物は何にしたの?」

「はぁ。売り物やけど、干物干し場までつくってしもうたから、キャラバン向けの保存食販売の店でもやろうかと。台所もストックスペースも沢山あるし、自分達も旅は続けるやろうから各地で食材も調達できるはずやし。」

「そうだね。このあと地下室に転移陣を置くからすぐに帰還もできるし、変に物品を売るよりも珍しい食材とかのほうが回転も良いだろうしね」

「大方の方向性はこれでええけど、仕入れルートとか実際に何を売るかはもう少し検討が必要や。シンジはんも相談に乗りや?」

「わかった。じゃあとりあえずキッチンの整備を済ませちゃうから、ルチアたちは寛いでいてよ」


2階のリビングに向かうルチアを見送って、キッチンの流しを整備し終えたシンジは地下室に転移陣を据え付けてからリビングへ向かった。


家具といえばコラボレーション家具しかないでしょう・・・

某カルビ弁当ベッドはわりとショッキングな出来でした・・・


屋敷の改造はもう少しだけあります。おや?地下室の様子が・・・?

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