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第12話 「再戦、白銀の竜」


一度は敗戦を喫したシンジ。

はたして、作戦を弄して挑むリベンジの結果は!?



リベンジのために竜の神殿に転移してきたシンジと金龍姫。人間形態になり、小じゃれた椅子と机、午後のティータイムを寛いでいる白銀の竜を視界に納めた瞬間にシンジが指示を出す。


「今週のびっくりドッキリアイテム~!!!! (オル、よろしく)」

「え? え?! お、オーブ開放!!」


いきなり振られた金龍姫も若干もたつきながら竜オーブを発動させて竜の力を殺ぐ作戦を開始した。(くつろ)いでいた白銀の竜は不意を打たれて呆然としていた。


「さ~、勝負ですよ~。」

「えっ! ちょ!? 今はティータイムよ!?」

「問答無用! 逆鱗目掛けてスーパータックルッ!!」


ちゅどーん。


詠唱も何もかも無視したシンジは油断していた白銀の竜(人間形態)にパ○タッ○。

(・・・別の意味の逆鱗に触れたかもしれないな・・・やば、すぐ逆鱗にもタッチしておかなくちゃ。)


金龍姫が予定通りの帰還の転移間際にそれを視てしまったようで、背後に”ごごごご”と書き文字を浮かび上がらせながら転移していくのがシンジの視界の端に映った。


「うん。城に戻ったら修羅場だな。よし、覚悟完了・・・」

「覚悟なら別の覚悟もしてもらうわよ」


掛けられた声にシンジが振り向けば、胸をかばうように腕を組む白銀の竜の姿がそこにあった。心なしかちょっと顔が赤い。


「逆鱗より先に胸とか・・・責任をとる準備は良いかしら?」

「えっと。折檻はお手柔らかにお願いします・・・優美な双丘。見果てぬ男の夢だったのです。」

「はぁ・・・まぁ、いいわ」


手を合わせ、虚空に向かって祈るようなポーズ。シンジのおちゃらけに毒気を抜かれたのか、白銀の竜は腕を組みなおすと語りだした。


「まぁ、逆鱗に触れたことだし、私の負けですね。約束だから、月の女神のところへ案内するわ。でもがっかりしないでね?」


白銀の竜がそう言うなりシンジの肩に手を置き、荒涼としたクレータに転移する。

そこは空気が無く、神であるシンジと白銀の竜でなければ即死してもおかしくない場所だった。


「ここが月の女神のお膝元、クロスムーンよ。もうひとつの月、サークルムーンにはもうずっと昔からなにもないからね」

「月か・・・これは転移してくること自体が厳しい。でもなんで「がっかりしないでね」と?」

「ここの設備は既に失われているからよ。御覧なさい、このクレーターを。昔はここにゲートがあり、異世界の魂を連れて出入りすることが出来たというわ。でもあるとき事故が起こり、爆散・消滅してしまったの。この直径10kmのクレーターはその名残というわけ。」

「異世界へ渡る技術が過去にあったということか・・・」

「だからね? がっかりしないでね、と言ったのよ」


ところで、この事実が判明してもシンジはそれほどショックを受けていなかった。仲間が増えつつあったこともあるし、なによりここが架空の、ゲームの世界ではなかったことが分かったことがシンジをわくわくさせた。

ここ1年くらいの放浪の旅でも新しいことがまだまだ見つかって、新鮮に思っていたこともある。規定路線が引かれた世界ではないのだ。

そして、ここが異世界ということは元の世界でも同じように時間は進行しているだろう。時間がたてば人は悲しみを乗り越え、つらい記憶は風化していく。


「わかった。多分、もう、戻れないことは解かっていたんだ。でもこの光景を、その背景を教えてくれてありがとう。これで心置きなくこの世界を楽しんで生きていけそうだよ」

「そう。よかったわ。じゃあ、私のために責任を取ってもらうのも遠慮しなくて良いわね?」

「え!?」


しなだれかかってくる白銀の竜。


「だって責任・・・・取るのよね? 貴方、私の逆鱗に触れたでしょう? 逆鱗に触れる・触れさせるというのは竜族のプロポーズだということは分かっていたでしょう? 熱烈な愛の告白だったわ・・・問答無用、なんて叫んだりしてね」

「しまった・・・設定を完全に読み飛ばしていた・・・そもそも白銀の竜が女性とはしらなかったし・・・」

「ふふっ、分かっているわよ、冗談、冗談。プロポーズの儀式は本当だけど、貴方がそのつもりは無かったことくらい分かっているわ。でも、久しぶりに神の友達が増えたんだもの。たまには遊びに行かせてよね?」

「う~。分かりました。定住したら連絡します。転移の座標も覚えたし、迎えに来るのは簡単ですから・・・」

「そう。じゃあ戻りましょうか。私は神殿で別れましょう。早く迎えに来てくれるのを待っているわよ・・・」


こうして絶望ではなく希望を見つけたシンジが王城に戻ると、そこには怒りマークを額に浮かべた女性陣が待ち受けていた。何故か4人も。


「ちょ、ちょっとまって。金龍姫はわかるんだけど・・・なんで銀龍姫もルミもアーシェラまで青筋浮かべて怒っているの!?」

「ご主人様が女の敵にジョブチェンジされたと伺いましたので」

「おいらになんの役得も回ってこないので」

「お姉さまを差し置いて他の女にプロポーズとか許せません」


逃げ出そうかと腰を浮かせたシンジの心へ追い討ちメッセージが入る。


<<良ければ私が妻宣言しましょうか? 高位の竜の命令なら金龍姫銀龍姫の怒りは収まるかもしれませんよ?>>

<<やめて! シンジのHPはもう0よ!! これ以上話を混沌に沈めないで!!!>>


「まぁ~モテモテなことで・・・あたしは馬に蹴られないうちに帰る準備を進めておくわね・・・」

「ごっそさんやで。がんばりや~シンジはん」

「あ! あ!! ミカエラさん!!! ルチアさん!! 助けてってば、あ、あ~~~!!!」

「シンジ様。どちらにいかれるんですか。さあ、こちらでしっかりお話を聞かせていただきますからね!!」


かくかくしかじか。


「まぁ、死なないための戦略ということは分かりましたが、白銀の竜が女性だということを失念しすぎですよ、金の風様。」

「そうよ。私の逆鱗には触れたことも無いくせに他の竜に先に手を出すなんて・・・」

「や、だからそれはもう謝ったとおりで」

「じゃあ、私のを触ってください!!」


いきなり服をはだけようとする金龍姫。あわてて止める周囲の女性陣。


「ちょ、ちょっとまった!!! わかった、わかったから!」


仕方が無いので、まだ若いためかわいいサイズの逆鱗にそっと触れるシンジ。とたんに頬を染め、うれしそうにする金龍姫。


「貴方のプロポーズ、謹んでお受けしますわ。・・・シンジ様、とお呼びしますわね、これからは・・・・」


当然、そんなものを見せ付けられては黙っていない者がいる。シンジの背後で2人程黒いオーラを出しながらごごごご、と効果音を背負っているルミとアーシェラ。


「「シンジ様?」」

「あ、え? 何!? 二人にも何かしないといけないの!?」

「そうですね。なにか形をあげたら良いんじゃないでしょうか。召使の証とか奴隷の証とか」


涼しい顔は銀龍姫だ。完全にルミとアーシェラが召使だと疑っていない様子でそんなことをのたまう。


「ルミは奴隷ですから、それでも良いです。シンジ様、どうかお情けを・・・」

「おいらはこんいんとどけをくれたらそれでいいニャ?」

「えっと・・・君達?」


ぎゃーぎゃー姦しい帰還歓迎の宴はそのご暫く続いたのだった。



・・・

・・・・・・



クエストクリアとなった一行に経験値がそっと配分された。シンジだけはエフェクトで見えたのだが、他のメンバーは気が付かない。思ったとおりかなりの量の経験値を得ており、パーティ全体でかなりのレベルアップが見込めるだろう。あとはこの経験値を訓練所で昇華させれば良いだけだ。カンストのシンジはともかく、他のメンバーは強化されることだろう。


そして、竜達の危機を救い、白銀の竜と知り合い、異世界が閉じたことを知ったシンジは旅に戻ることにした。今までシンジが持っていた気持ちもだいぶ変わり、旅から旅に探し物をしていた焦りのようなものはなくなってきている。

また、竜の街から出るときにパーティメンバーが増えた。シンジが逆鱗に触れてくれたから、とオリビアがくっついてきたのだ。単純な戦力増加にはなるのだが、そこは世間知らずのお姫様である。そこはかとないトラブルメーカー的な不安もある。一般的な常識の話を交えつつ、一行は再びクファンの城門を潜ったのであった。



お読みいただきありがとうございます。


この地で生きていくことを決めたシンジ。

仲間も増えた一行はクファンで準備を進めるようです。


次回もまたご覧ください。

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