【閑話休題】オアシスの水辺
またしても番外。水着シーン? です。
砂漠の冬は朝の冷え込みから始まる。
いつも晴れ渡っているため放射冷却という現象により地表の気温が一気に下がるためだ。朝日が昇り、日が照り、一番気温が高い時間帯になると暑くなる。シュバリク付近の砂漠では特にその気温差が顕著であり、岩石が温度差によって風化し、細かい目の砂漠が出来上がる。日中の一番温かい時間であれば、湧き出る泉の温度の高さもあいまって冬でも水浴びは可能なのがこのシュバリクなのだ。
「本来水浴びは裸よね。無粋な水着でゴメンね?」
保養地としても有名なシュバリクのオアシスの南端、浅瀬が続く砂漠の際の泉で真っ白なビキニに包まれた抜群のスタイルを見せつけながらミカエラが水浴びをしていた。
「こうして水浴びが出来るのは嬉しい事なのです」
ルミも負けじと花柄のビキニ。もっふもふの尻尾が水を弾き煌いている。
「ウチはそこのパラソルの下で勘定やってるから皆は楽しんでおいでなー」
灰色のハーフパンツにTシャツのような出で立ちはルチア。スタイルは悪くないのだがいかんせん残念なファッションとインドアチックな趣味によりあまり煌いてない。今度いろいろ勧めてみよう。うん。
「おいらは水は苦手ニャんだけどナー」
アーシェラは全裸。ヒョウ柄の毛並みは素晴らしく毛皮に包まれてもその双丘は優美で----
と思ったらヒョウ柄の水着を着ていた。首もすっぽりつつむ全身タイツ状態。本物かと思った。ほんとびっくりした。後で聞いたら全裸のときはほぼ毛が無いそうで。背中にうっすら生えている程度なのだそうだ。
「ところでシンジは何やってるのよ。 箱をかぶって隠れてるつもりなの?」
ば、ばかな。この伝説のスニーキングスーツを装備しているのに即バレだと・・・!?
「その箱すごく目立つニャ。横に書いてある”えひめみかん”って何ニャ?」
「あ。こっちには天地無用って書いてある。」
「「「 ??? 」」」
盛大にはてなマークを飛ばしまくるルミ・ルチア・アーシェラ。ミカエラはといえば・・・爆笑していた。きっと元ネタ知ってる。あれは。ぜったい。
「いいから気にしないで・・・ちょっとやってみたかっただけなんだから。」
言い訳しながらダンボールの下から這い出す。普通にトランクスタイプの水着だ。取り立ててムキムキなアバターにはしていなかったためかほんとに平凡な体型。マッチョだったら別の意味で恥ずかしかったはずなので、これはこのままが良い。
「水浴びが出来るオアシスもなかなか無いからね。軽く水浴びしたら木陰で休んでるよ」
水辺で遊ぶ女性陣を見守る位置で休憩に入る。
「ここが神殿の敷地じゃなかったら芋洗い場になってたんだろうな、きっと」
今回は神殿の報酬ということで、特別に禊に使われる泉を使わせてもらっているのだ。設備は整ったシュバリクの神殿だが、金の巻上げなどはしていないようで、質素な生活をしている。ギルドへの依頼も微妙な報酬しか用意できず、こういった形での報酬の支払いが珍しくないようだ。
「シンジはもう水浴びしないの~? 昼を過ぎると砂嵐って天気予報士が言っていたわよ?」
天気予報士は旅から旅へのキャラバンのために、旅路の天気の予報(予言)を受ける神殿関係者だ。もちろん占いなどの一種なのでお願いすると費用がかかる。さすがに神の予言だけあって的中率はそこそこ高い。代表的な悪天候は砂嵐、猛暑といったところだ。どちらも準備なしで生き抜くことは厳しい。
「砂嵐かぁ。それじゃ早めに切り上げて宿に戻ろうか」
ひとしきり水辺で遊んだ後。
水着の上に簡易なローブを羽織り、宿泊している宿へ向かう。着替えは宿の部屋だ。
砂嵐が起こると細かい砂が風に乗って押し寄せてくる。せっかく洗った髪が台無しになってしまう。今日は多分外出はしないだろう。この後待っているのはルチアの行商講座か。
「それじゃシンジはん、明日から市内での仕入れ・売却について説明を受けてきたので冬の間の販売計画についておさらいをしよか」
帰り道でルチアに講座メニューを聞かされた。しばらくはシュバリクに逗留することだし、のんびり勉強させてもらおう。
ゆったり流れるシュバリクの冬の午後。砂嵐の頻発さえなければ過ごしやすい季節のひとコマだった。
砂っぽいところでつかの間のオアシス。
沖縄のようなからっとした気候なんでしょうね。




