はじめまして。
この物語の舞台「アラベスク」。それは広大な砂漠の国に築かれた交易の道。
その模様が織り成す人の交流・文化の交流。
とある一人の異邦人が訪れた、そのときのたびの記憶です。
主にラブコメ的な。
基本的に主人公最強ものです。
ということで不定期ですが少しずつ書いていきたいと思います。
まずはプロローグということで彼らの日常風景を。
「シンジー! そっちから団体さんお越しだよ! さっさと片しちゃってね!
あと! ルチアとアーシェラは顔出さないでね! 石化しちゃうよ!!」
「了解! ミカエラも気をつけて!」
わさわさと群がってくる体長2mにはなろうかという巨大なトカゲの群れ。
全部【石化】攻撃をしてくるバジリスクだ。
「大気の精霊に請い願い奉る。敵を退ける大盾を与えたまえ! 【シールドプロテクション】!」
ミカエラが精霊魔術を行使する。すぐさま馬車を包む不可視のフィールド。バジリスクが
がっつんがっつんぶち当たるけどびくともしない。
触られなければ接触発動の【石化】などどうということはない。
「材料集めも楽じゃないな、と。 吹き荒れよ吹雪と氷の大河! 【アイスストーム】!!」
シンジの範囲魔法スキルが炸裂。【シールドプロテクション】の外側を吹雪が荒れ狂う。
このフィールドがなければ味方も巻き込まれてしまうというはた迷惑な代物だ。
結果はすぐにわかる。バジリスクだった氷像の群れ。
「サーチ! うん、全部仕留められたみたいだ」
フィールドが切れると同時に馬車から飛び出して獲物の回収に向かうアーシェラ。
その後ろからついていくミーシャ。
「お疲れだニャ、シンジ。材料加工はおいらとミーシャに任せてよ」
「うん、お願いするよ。 新しい種類の素材がこれでまた手に入ったなあ」
杖を収めたシンジのとなりに空から降り立つミカエラ。
「シンジも物好きね。素材集めばかり本気なんだものね。もうすこしはあたしのことを
労ってくれても良いと思わない?」
ミカエラの防御があってこその範囲魔法だ。下手をすると自爆の危険もある厄介な仕様
になってしまっている分、ほんとうに重宝している。
「ありがとう、ミカエラ。」
ぷい、と横を向いたミカエラの頭をなでなで。
「これでいいのかな?」
「ま、いいでしょ。 本当はキスのひとつもくれると良いけど、あとがめんどくさいしね~」
シンジの周りの女性はだれかがシンジにちょっかいを出すと過剰に反応する。主にシンジに対して。
大体は妬みだったりするのだが、一度アーシェラが裸で抱きついたときはミカエラのパンチで
シンジが宙に舞ったあとに追い討ちでルチアとルミのストンピングが炸裂りした。
べつにシンジが悪いことはひとつもなかったのに・・・
「勘弁してよ、ほんと。なんだか知らないけどみんな潔癖なんだから」
潔癖な人間がキスやら裸で抱きついたりやらはしない。断じて。
朴念仁とは恐ろしい生き物である。
「さーて荷台に積み終わったニャよ! そろそろ街に戻りましょ~?」
作業が終わったらしいアーシェラが声をかけてくる。
冒険者チーム「風のアラベスク」は意気揚々とアンキアの街に引き返していく。
この物語は彼らが過ごす、ちょっと砂漠な物語である。
次回は出会い編です。




