岳の試合で one
「あれ…、今日は早起きじゃん。」
「あ!湊くん!」
私はいつもより一時間ほど早く起き、お出かけの準備をしていた。
っていうか、寝起きの湊くんかっこいい~。寝癖がチョンって跳ねてて、目がとローンってなってる。かわよ~…。
「どっか行くの?」
「あっ、この前、岳来たじゃないですか。」
「あー…あいつね。」
湊くんは少し間をおいて答えた。
「あの時もらったお土産の中に手紙ありまして、サッカーの試合見に行かないかって書いてあったんですよー。」
湊くんはカチッと動きを止めた。
「今日はお母さんたち予定があって来れないから、私一人で行ってこようかと思ってて…」
「それ、俺も行きたいんだけど。」
私が最後まで言い終わる前に湊くんが口をはさんだ。
「え…?」
驚いてフリーズした私を見て、湊くんは視線をそらした。
「俺、サッカーしてたし、暇だし。」
ソワソワと視線を泳がせる湊くん?!かわいいんだが??!誰か―!!酸素ボンベ!!
「わ、わわわわ、私は一緒に行きたいですが!!え、いいんですか?大丈夫なんですかね?」
「いいんじゃない?そっくりさんって言えば。」
「やー…、流石に…てか私と並んで歩くとかいいんですか?私は最高だけれども、推しと並んで歩くとか、マジ最高だけれども!!」
「別にいい。」
そういうと湊くんはすぐに部屋に戻っていった。
「そんなにサッカー好きだったんだ…。」
私は湊くんの意外な一面に顔がほころんでいた。
「よおうし!行きますよ!みな…みなみくん!」
流石にそっくりさんは無理あるので、湊くんはマスクとマフラーで顔を隠すことにした!岳にはいとこって言ってあるし!大丈夫でしょ!顔が出ない限り!
会場に着くと、そこは思ったより広くて、人もすごく多い。もちろん岳のギャラリーもたくさん来ていた。
「うわ~、すごい人!」
「思ってたより多いな。…ちょっと危ないかも。」
「そうですねー。マフラー、ちゃんと押さえておいてくださいよ。」
湊くんは返事を変えさず、クイッと口元のマフラーを上げた。やっぱりマスクだけじゃ心もとない。
素っ気ないけど、やっぱかっこいい~。マフラーに顔をうz目る寒がり湊くん?なにそれもうかわいいの域超えてるじゃん。推しの隣に立てているという状況がほんと夢のようで。あ、夢か?夢かしら?
にやにやしながら歩いていると、ドッと誰かの肩にぶつかった。
「わっ、ごめんなさい。」
「はぁ?声がちぃせぇよ。」
なんか肩ぶつかった人お酒飲んでて酔ってるし、めっちゃガラ悪いし?!
「ご、ごめんなさい。」
「あぁ?聞こえねぇよ!」
酔った勢いでなんか殴りかかってきた!…もう避けられない!
覚悟して体を縮め、目を固くつむった、その時だった。
「…お前がぶつかってきたんだろうが。」
なんと湊くんがおじさんの手首をねじり上げてるではないか!
「お前、年上に向かってなんて態度だ!」
「年下殴る方がよっぽど非常識だろ。失せろ。」
湊くんはブンッとおじさんの手首を放して、ぎろっと睨んだ。おじさんはそのお顔に真っ青になり、走って逃げていった。
「あ、ありがとうございます!あー、びっくりした…」
「ん。」
湊くんはクイッとマフラーを持ち上げて、小さく返事をする。
うわぁ、うわぁこの人どんだけひきだしもってんの。イケメンで性格いい?最高かよ。あ、いや、最高なのはもともと知ってたんだけど、内の面を知ったことでなんかこう、なお良いじゃん?
「始まったっぽい。」
湊くんはベンチの手すりにもたれかかって、コートに視線を落とした。
「え、ほんとですか?うわぁ広ーい。」
湊くんの隣にかけていき、手すりに摑まる。
「あ、岳いましたよ!すごーい。」
「集中したいから黙って。」
湊くんはムスッと私を睨んで、眉間にしわを寄せてコートを見下ろした。
「ご、ごめんなさい。」
湊くんってそんなにサッカー好きなの?なんか目、細めてコート見てるのかわいい。必死に目で追ってるの超かわいい。やばいわ・顔面国宝だわ。みなさーん。ここに国宝ありまーす。
湊くんを見て癒されている間に、なんか試合終わってました。
~五話に続く
最後まで読んでくれてありがとう!
今回は一話が長いので、二話続けて投稿します!
ぜひ五話も見てください!




