あけおめとジェラシー
一月一日、今日からなんと新しい一年が始まるのです!
「あけましておめでとうございまーす!」
朝、昨日の年越しそばの残りをすすりながら湊くんを見上げる。
「…おめでと。あれ、初詣でいくの?」
もこもこマフラーにベージュのコートを羽織った私を見るなり早速声をかけてきた。
「はい!岳と初詣で行くんです!これは毎年恒例で、これで14年目ですね!」
岳と聞くなり顔を曇らせる湊くん。
「じゃあ俺も…」
と、言いかけたところで湊くんはお母さんに引き留められた。
「おっとっと湊くん。岳ちゃんにもチャンスをあげなさいな。せっかくの元旦なんだから。」
湊くんはどうどうとお母さんになだめられ、不機嫌そうに眉間にしわを寄せた。
「チャンスって何ですか。なんでチャンスなんてあげないといけないんですか。」
「おっとっと湊くん。落ち着いて。俺らと行けばいいだろう?」
お父さんも参戦して、湊くんをなだめる。
「私行くよー?」
なんかめんどくさそうだからお母さんたちを横目にドアに手をかける。と同時にインターホンが鳴った。
「噂をすれば。」
ドアを開けて現れたのは岳だった。
「はよ。じゃ、行こっか。」
「ナイスタイミング岳ちゃん!さっさと歩実さらってって!」
お母さんはグッと親指を立てて岳にウインクした。
「はぁ。」
「もういっか。行こ。」
ちょっと湊くんと行きたい気持ちもあったけど、前の映画館のことがあったから湊くんは外出控えた方がいいよね。
改めて岳の方を向きなおすと、湊くんが叫んだ。
「俺も後で行くからっ!」
驚いて振り向いたけど、それと同時に岳に引っ張られ、バタンとドアを閉められた。
「びっくりしたぁ。…あれ、岳?」
引っ張られた勢いで岳の胸に倒れていた私だったが、それを確認するなり岳派耳を真っ赤にした。
「うわぁ、心臓ドックンドックンしてる。そんなに驚いた?湊くんの大声。」
私が胸に耳を当てると、もっと音が大きくなった。
岳は私の肩をガシッとつかむと、力強く後ろに押し返された。
「あっ、嫌だった?!ごめん!!」
あわてて後ずさす私。珍しく目を合わせてくれない岳は、片手で顔を覆って、
「ちがう。ごめん。びっくりしただけ。」
と、ぼそっとつぶやいた。
あんまり見ない顔見れちゃったな。あんなにびっくりした顔見れるの、これが最初で最後だったりして。
岳の珍しい一面にちょっとだけわくわくした。
~十八話に続く
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