映画デート two
「着きましたねー!てか人多いな。どんな映画なんですか?」
湊くんは恥ずかしそうにうつむいて、
「やっぱ違う映画見ない?」
「その反応絶対恋愛系ですね。湊くんから言ったんだからその映画見ますよ。」
私は半ば強引に湊くんから映画の名前を聞き出すと、チケットを二枚、ポップコーンをLサイズ一個と、オレンジジュースМサイズ二個買いました。(五分)
「…はっや。何でそんなに慣れてんの?」
「よく岳とくるんです。サスペンスは好きなくせにホラーは見ないんですよ?おかしいですよね?」
むっとした顔で湊くんを見上げると、湊くんはそれ以上に不機嫌顔になっていた。
「あれ?私なんか変なこと言いました?」
「…いや、何も。俺はヒューマンドラマが好きだから。」
「えっ、そうなんですか??!貴重な情報ありがとうございますっ!!」
湊くんはやっと私に目を合わせた。
「別に、あんたが知りたいんだったら何でも教えてあげるよ。」
え、ガチファンの前でそんなこと言っちゃっていいんですか??湊くん。何でもって言われちゃうと私歯止めが、効かないですよ??
「湊くん…。」
「ん?」
ふっと振り返る湊くんと目が合う、その瞬間、キラッと私の目が光った。
「足のサイズ、身長、体重から服のサイズ、つめの長さまで抜かりなく教えてくださいっ!あなたの全部知っておきたいんです!西片湊く…っ」
ガチファンのためにたまった欲が溢れ出し、フルネームを大声で叫びそうになったところで湊くんに口を塞がれた。
「早く行こう、もう始まる。」
口を塞がれたまま席まで誘導される。やっと席に着いたところで私の口は解放された。
「ぷはぁっ!死ぬかと思いましたよ!」
息が切れて深呼吸する私を横目に湊くんはぼそっとつぶやく。
「俺の正体ばれたらもっと大変だったでしょ。」
何も言い返せなくなり、黙ってうつむく。
やぁ、だってぇ、何でも聞いていいって言われたら誰でも興奮するよ…(言い訳)
と、そのとき、ちょんちょんと湊くんに肩をたたかれ横を向く。
「何ですか?」
湊くんはマスクを外してにっこり微笑んでいた。
「えっ?!みなっ…なんでマスク?!」
思わず大きい声が出たけど、必死に声を静める。
「大丈夫。どうせ暗いし、こうしないとポップコーン食べらんない。」
そういった瞬間、電気は消えて、周りが見えなくなった。
「ちょっとだけ許して。」
やっぱり、湊くんイケボ…暗くてもわかる。あ、この声、この人絶対イケメンだ。みんな思ってる。
「この映画終わるまでですからね。」
イケボに惑わされてつい湊くんを甘やかしてしまった。ま、大丈夫っしょ!!
映画が始まる。真っ暗闇の中、スクリーンいっぱいに湊くんが映る。凄い爆音で湊くんの声が聞こえる。
なんか、不思議だな。いま、隣にいるのに遠い人に思えてくる。湊くんは悪魔で私の推しだ。そう、顔面国宝、ツンデレ、ギャップ萌え、イケボ、容姿端麗、今更ながら、完璧だね…?最高かよ。演技上手いし、あっ、今の顔最っっ高!!
湊くんの主演の映画は切ない恋愛映画で、泣けてくる。ポップコーン片手に涙をぬぐっていると、湊くん側の席からこつんと肩に重さが加わった。
なんだ?と思いながら横を向くと、湊くんがすやすや寝ているではありませんか!!
オキャワッ、え、やばいやばい。映画、見れませんよー?おーい。あ、でも起きてほしくない。一生眺めていたい。最高かな?てかこのアングル最強だな?映画みててうたた寝する湊くん?え、写真撮りたい。だめだ、今映画。うわあああああ。
あまりの衝撃に目を手で覆う。全国のファンとこの喜びを共有したい…
そのままラブシーンは終わったらしく、音楽が流れだして自我を取り戻した。
「はっ、終わっちゃった!見たいとこ全部見逃した!(小声)」
音楽を聴きながらポップコーンを一気に食べる。そうしているうちに電気がついた。
みんな、よかったねーと感想を言いあいながら立ち上がってきた。
「あれっ、西片湊じゃない?」
ふと、近くの人がささやいた。その言葉がどんどん広まっていき、私と湊くんの席の周りにわらわらと人が集まってきた。
「うわ!ガチじゃん!てか隣の子誰?」
「彼女?もたれかかってるし。」
ざわざわと周りが騒ぎ出した。
やばいやばい!バレちゃった!!流石にごまかせない!どうしよう!あ、とりあえず彼女じゃないって言わなきゃ…!
私は立ち上がろうと腰を浮かした。
~十六話に続く
最後まで読んでくれてありがとう!
今回は気になるところで中途半端なところで終わりましたね。
続きを楽しみに待っていて食てたら、すっごく嬉しいです!では、金曜日に!




