泣き笑い
「まって。」
湊くんにカーディガンをつかまれた。
「はい?」
驚いてキョトンとする私に、湊くんは真面目な顔で「話がある。」と言い、私を座らせた。
ベッドの横にちょこんと正座するが、なんだかソワソワする。
「あんたには、話しておこうと思って。」
湊くんは熱で赤くなった顔を天井に向けた。
「俺が芸能界に入ったの、憧れてた女子に勧められたからさ、」
「えっ。」
湊くんの珍しい女の子の話に心がざわざわと騒ぎ出したが、その気持ちを押しやって、真面目な湊くんの顔を見ながら話の続きに耳を傾けた。
「その女子には嫌われたくなくてカメラの前と同じ態度でずっと接してた。」
湊くんは静かに、ゆっくりと続ける。
「けど、母さんたちと話してるとこ見られてさ。」
湊くんは一瞬、辛そうに目を伏せた。
「その女子になんて言われたと思う?」
湊くんはスッと私に視線を移した。私は湊くんがあまりに寂しい顔をするのでなにも言葉が出てこなかった。
「『不愛想過ぎない?やば。』って言われた。」
「…湊くん…」
情けないことに私は、湊くんの名前を呼ぶことで精一杯だった。
「でも、あんた、昨日ありのままの俺が素敵だって言ってさ、ほんとにびっくりした。初めて会った時も、ギャップがどーとか言って、全然『やば。』なんて言わなかった。」
湊くんはにっこりと私に微笑んだ。
「俺、昨日久しぶりに心から笑えた。ありがとな。俺のありのままを認めてくれて。」
その瞬間、私の涙腺は崩壊した。ぼろぼろと大粒の涙が目からこぼれ落ちるのを見て湊くんはギョッとした。
「こっ、こちらこそ、ありがどうございばすぅーうわああん!」
大声で泣いていたら、湊くんはぶはっと吹きだした。
「あんた、感情豊かだな。見てて飽きない。」
なんで湊くんが笑っているのかはよくわかんないけど、なんか褒められてる?
「あ、ありがとうございます?」
ズズッと洟をすすって湊くんを見る。
目を真っ赤にして泣いてる私と、おなかを抱えて笑う湊くんがおかしくなって、私と湊くんは声をあげて笑い飛ばした。
~十三話に続く
最後まで読んでくれてありがとう!
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