第二話 首都高
俺達は待ち合わせ場所である辰巳パーキングエリアに集まった。
俺のMR2、手倉のインテグラタイプR、空矢のスカイラインGT-R BNR32、鳥野のスプリンタートレノae86が並んだ。
なんやかんや、みんな自分の車を持っているようだ。
まあ、空矢は医者の息子だし、それなりに金持ちだからな。
「よし!みんな集まったな!じゃあ、始めるか!」
そうして四台は夜の首都高に駆け出していった。
先頭からインテグラタイプR、GT-R、MR2、トレノという並びだ。
しばらく走っていると、手倉が無線で皆に呼びかける。
「それじゃあ、勝負、始め!」
皆が一斉に加速した。
俺は何が始まったかわからず、鳥野のハチロクに抜かれた。
「あ、あれ?」
俺はわけがわからなかった。しかし、前の三台はどんどん加速していく。
そして、GT-Rとインテグラが並んだ。
「庄二!もっと踏め!」
そんな声が無線から聞こえる。
「わ、わかった!」
俺も負けじとアクセルを踏む。
すると、MR2はどんどんと加速していった。
そしてAE86を追い抜いた。
そこからしばらく走っていると、目の前に一台のマシンが見えてくる。手倉のインテグラタイプRだ。空矢のGT-Rと争っている。
俺もそれに加わるようにアクセルを踏んだ。するとMR2は加速していき、二台に追いついた。
インテグラタイプRとGT-RとMR2が並ぶ。俺はハンドルを切り、MR2をGT-Rの後ろに潜り込ませる。
そしてコーナーでたった少し空いたインを狙い、回転数をあげ、GT-Rを抜いた。
「よし、このままいくぞ!」
俺はさらにアクセルを踏む。するとMR2はもっと加速する。
しかし、そんな時、後ろからインテグラが迫ってきていたのに気づかなかった。
インテグラは俺に並ぶように近づくと、俺のMR2を抜きにかかった。
「な・・・!」
俺は慌ててアクセルを踏み加速する。だが、俺のMR2はどんどんとインテグラタイプRに追いつかれる。
「くそ・・・!」
俺は負けじと加速を続ける。すると、コーナーを曲がる瞬間にギアを落としたのを見逃さなかった。
インテグラタイプRの加速で抜かれてしまった。
そこから俺と手倉のバトルが始まる。
しかし、なかなか決着がつかない。
そうこうしているうちに、後ろからGT-Rが追い抜いたのだ。
俺は覚悟を決めた。
そしてMR2のライトを消灯し、格納する。
「今だ!」
俺はギアを入れアクセルを踏む。
MR2は加速し、インテグラと並んだ。
「よし!このままいく!」
MR2はさらに加速する。
インテグラも負けじと加速する。しかし、コーナーが多くなってくる。
「よし!いける!」
俺はハンドルをきり、コーナー出口で再びMR2を加速させる。そしてまたインテグラに並ぶ。
「よし!」
そして最後のストレート。MR2とインテグラは並んだままゴールした。
結果、俺のMR2のほうが僅差で勝った。
その時、どこかからかすかに声が聞こえた。
俺はその時それがどこから聞こえた声かわからなかった。
俺たちはまた辰巳パーキングに戻ってきた。
「俺の勝ちだな。」
俺は手倉に言った。すると、手倉が悔しそうに言う。
「くそ・・・負けちまったか・・・」
手倉は頭を抱える。その横に空矢のGT-Rが止まった。
GT-Rから降りてきた空矢が言う。
「いやぁ、流石だね庄二!驚いたよ!」
そして鳥野が言った。
「よし!それじゃあ帰るか!」
俺たちはそれぞれの車に乗り込み、帰っていったのだった。
翌日。
俺は高校にいつものようにMR2で向かった。
すると、駐車場に新田先生がいた。
「おはようございます。」
俺は挨拶をする。すると、先生は言った。
「おはよう庄二!」
「あれ?先生、何か用ですか?」
俺は尋ねた。
「あぁ、実はお前に言いたいことがあってな。」
先生は言った。
「俺に?」
「そうだ。」
そして先生は言う。
「庄二!何故昨日俺を誘わなかった!?」
そんな先生の言葉に俺は一瞬戸惑った。
「え?それは一体どういうことで?」
と、俺は尋ねる。
すると、先生は言った。
「お前たちが昨日首都高を走ってたってことだよ!」
そんな先生に俺は聞く。
「なんで先生が首都高に?」
俺が問い詰められていると手倉たちが彼らの車で登校してきた。
「おはよう!庄二!なんでこんな状況になってるんだ?」
と、手倉は聞く。
すると、新田先生が言う。
「それはだな・・・昨日お前たちが俺を首都高に誘わなかったからだ!せっかく俺のNSXを見せつけてやろうと思ったのに!」
先生は言う。
「え?先生ってNSX持ってたの?」
そう俺は先生に尋ねた。すると、先生が答えた。
「あぁ、そうだとも!」
そして先生は続ける。
「俺のNSXはなぁ!俺が自分でチューンして最強になったんだよ!」
そんな先生の自慢に俺たちは唖然とするしかなかったのだった。
すると、鳥野が俺たちに提案した。
「じゃあ今日の放課後、僕の家まで来たらどうですか?まあまあの山道だし。」
「お、いいなそれ!」
手倉が賛成する。そして俺も賛成した。
「よし!決まりだな。」
そんな俺たちに先生は言うのだった。
「じゃあ放課後、鳥野の家に集合な!」
そして学校が終わり、俺はMR2に乗り込む。
「じゃあ、行くか!」
俺はMR2で家に帰り、鳥野の家である山の上のホテルに向かった。