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やはり復縁はありえない

翌日、茅雪は僕を学校の屋上に呼び出した。緊張と不安でいっぱいだったが、僕に気持ちを伝えなければならないというのが見て取れる。だが…。

「なに用だよ、茅雪」僕は不機嫌そうな表情で現れた。まあ、あんなこと言われちゃな。二人きりの屋上に立つと、ますます険しい眼差しを向けてくる。

「晴來、私、あの日は本当に酷いことを言ってごめんなさい」茅雪は深くうなずいた。「あなたの小説を読んで、あんなひどいことを言うべきではなかった」

「もう遅いよ、謝っても意味がない」僕は冷たくあしらった。

「でも、私があなたのことを本当は好きだってこと、今なら分かるの!」茅雪は真剣な表情で言い放った。「私、幼い頃からあなたのことが大好きだったの!」

僕は驚いた様子で茅雪を見つめた。しかし、すぐに険しい表情に戻った。

「それなら何故あんなひどいことを」

「私、自分の気持ちにすら気づけず、自尊心ばかり高ぶっていたのよ!」茅雪は懸命に説明した。「本当はあなたの優しさや、努力する姿が大好きだったの!」

「茅雪」僕は目を伏せ、言葉に詰まっていた。

「だから、もう一度だけチャンスをください!」茅雪は心からそう願った。「今度こそ、あなたを大切にするから!」

「ごめん、茅雪。僕はもう、君を友達とは思えない」

その言葉を聞いた茅雪は、愕然とした表情で僕を見つめた。

「は、はぁ……!?」

茅雪は呆然としていた。今まで自分を特別な存在だと思っていたのに、あっさりと断られてしまったのだ。

「なんでよ!また仲良くしてあげるって言ったのよ!なのに断るなんて!」

茅雪の目からは涙が溢れ出し、頬を伝って落ちていく。

「君は僕のことを見下していた。僕がどんな思いで小説を書いているのか、一度も考えたことがなかったんだろう?」

僕は、幼馴染みの高圧的な態度に眉をひそめた。彼は、茅雪が自分を振った時のことを思い出していた。あの時、彼女は彼のことを「無価値な人間」と呼び切り捨てた。

「そ、そんなこと……」

「あったよ。僕がどんなに傷ついたか、わからないんだな」

僕は怒りを抑えながら話した。

茅雪は僕の手を掴み、涙を拭うことも忘れて必死に訴えた。

「どうしてなの? 私、あなたのことが好きなの! どうしてわかってくれないのよ...!」

僕は茅雪の手を振り解くと、冷めた目で彼女を見下ろした。

「その好きって奴隷か何かに対する好きだよね? 所詮、何でも言うことを聞いてくれる男だけだろ?」

「そ、それは……」

「お前は僕のことを陰キャなクソ男だって罵った。僕の小説しか興味ない、お前は所詣僕の人格なんてどうでもいいんだ!」

茅雪は、僕の鋭い指摘に言葉を失った。確かに、彼女は僕のことを見下していた。彼のことを、自分よりも下等な存在だと思っていた。僕は茅雪を睨みつけ、拳を握りしめた。

「ひっ……!」

茅雪は後ずさりした。僕がこんなに怒っているのを見たのは初めてだった。

「違うわ! 私は...」

茅雪は僕の言葉に反論しようとしたが、言い返す言葉が見つからなかった。

「僕はね、自分だけで読み返すためだけで小説を書いていたんだ。君のせいで書く気力さえ失った」

「僕はお前が思ってるほど、器が大きくないんだ。お前が僕のことをどう思ってたか、ちゃんと覚えてるよ」

「ごめんなさい……」

「なのに、君は僕のことを見下していた。僕の気持ちなんて考えもしなかった。そんなやつに、僕は友達だなんて言われたくない!」

僕は拳を振り上げ、茅雪の頬を殴った。

「きゃあっ!」

茅雪はよろめき、床に倒れ込んだ。茅雪は、僕の言葉に涙を流した。彼女は、自分のしたことがどれだけ酷いことだったのかをようやく理解したのだ。

「ごめんなさい、晴來。私、本当にバカだった……」

僕は、茅雪の謝罪を聞いても、表情を緩めることはなかった。

「もう遅いんだよ。お前がどんなに謝ったって、僕の心はもう変わらない」

「そんな……」

「僕はもう、お前を好きになれない。お前が僕のことを好きでも、もう遅いんだよ」

「そんなの……嫌だよ……」

茅雪は、僕の冷たい言葉にショックを受けていた。彼女は、僕への想いを自覚した途端に、彼に断られてしまったのだ。

「ねえ、晴來。私のこと、本当に嫌いなの?」

「……」

僕は、茅雪の問いかけに答えなかった。彼は、茅雪の目を見ることもせず、ただ黙って立っているだけだった。

「ねえ、答えてよ!私のこと、嫌いなの?」

「……ああ」

僕は、小さくうなずいた。彼の表情は冷たく、茅雪への情け容赦のないことが伝わってくる。

「そんな……」

茅雪は、僕の言葉に打ちのめされた。彼女は、僕への想いを伝えることができたと思ったのに、あっさりと拒絶されてしまったのだ。

「なんでよ!私はあんたのことが好きなのに!なんで私の気持ちを無下にするのよ!」

「お前が僕のことをどう思おうと、もう関係ないんだよ。僕はお前を好きじゃない。それだけのことだ」

その言葉を聞き、茅雪の心はズタズタに引き裂かれた。

「ひどい...ひどいわ、晴來...!」

茅雪は嗚咽を漏らし、その場に崩れ落ちる。茅雪は、僕の冷たい態度に怒りを覚えたようだ。彼女は、僕の胸ぐらを掴み、叫んだ。

「なんでよ!なんで私の気持ちを踏みにじるのよ!あんたなんか大嫌い!大嫌い大嫌い大嫌い!」

「……」

僕は、茅雪の言葉に何も言わなかった。彼は、茅雪の腕を振りほどくと、その場を立ち去ろうとした。

「待ちなさいよ!」

茅雪は、僕の腕を掴んだ。彼女は、僕を引き止めると、彼の顔をにらみつけ、言った。

「あんたなんか、大嫌い!大嫌い大嫌い大嫌い!消えちゃえばいいのに!死んじゃえばいいのに!この世からいなくなればいいのに!」

「……」

僕は、茅雪の言葉に何も言わず、その場を立ち去った。彼は、茅雪の罵詈雑言を背中に浴びながら、黙って歩いていく。

「……」

茅雪は、僕が去った後も、その場に立ち尽くしていた。彼女は、今までの自分の行動を後悔していた。僕を振ったこと、彼の仲直りを軽く扱ったこと、そして、今の自分の言葉。

「バカ……私のバカ……」

茅雪は、自分の頬を叩いた。彼女は、自分のしたことが信じられなかった。僕を振った時も、今も、彼女は自分の感情に正直に行動しただけだった。

「私……」

茅雪は、その場にへたり込んだ。彼女は、今までの自分の行動を反省し、僕に謝りたいと思った。しかし、僕はもう彼女の前からいなくなっていた。

「ごめんなさい……晴來……」

茅雪は、僕への想いを胸に抱えながら、その場に座り込んだ。その夜、茅雪は一人で部屋に閉じこもり、涙を流した。

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