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本当に好きな女性

昨日の午後、晴來は放課後の教室で深い息をつきながら心の準備をしていた。彼の心臓は激しく鼓動し、まるで胸の中で大きな太鼓が鳴っているかのようだった。今日こそは決意を固め、長い間胸に秘めていた思いを伝えようと決めていたのだ。


放課後の教室にはまだ数人の生徒が残っていたが、彼はそれを気にせずに一歩ずつ前に進んだ。目指すは教室の一角にいる橋中紗友莉。彼女は窓際の席に座り、窓から差し込む柔らかな夕陽に照らされていた。その光景はまるで一枚の絵画のように美しく、晴來の胸をさらに高鳴らせた。


「紗友莉、少し話があるんだけど……」と、彼は声を震わせながら彼女に近づいた。


紗友莉はその声に反応して振り返り、優しい微笑みを浮かべた。「晴來くん、どうしたの?こんなに真剣な顔して。」


晴來は一瞬言葉に詰まりながらも、意を決して続けた。「あの……僕、ずっと紗友莉のことが好きだったんだ。小さい頃から、ずっと君のことを見てきた。君の優しさや笑顔が、僕にとってどれだけ大切なものだったか……」


彼の言葉は途切れ途切れでありながらも、真摯な思いが込められていた。紗友莉はその言葉を真剣に受け止め、静かに聞いていた。


「だから……その、もしよければ……僕と付き合ってほしいんだ。これからも君のそばにいたいんだ。」


その瞬間、教室の中の時間が止まったかのように感じた。晴來の心臓は再び激しく鼓動し、次の瞬間に何が起こるのか全く予想できなかった。彼は紗友莉の反応を待ち続けるしかなかった。


紗友莉は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐにその顔に優しい笑みが広がった。「晴來くん……ありがとう。実は、私もずっと同じ気持ちだったの。あなたの優しさや真面目さ、そして努力する姿が、私にとってとても大切だった。だから……私も、あなたと一緒にいたい。」


その言葉を聞いた瞬間、晴來の心には喜びが溢れ出した。彼は思わず紗友莉の手を握りしめ、その温もりを感じた。二人はお互いに見つめ合い、その瞳の中に互いの気持ちを確かめた。


「これからも一緒にいよう、晴來くん」と紗友莉は静かに言った。


「もちろんだよ、紗友莉。これからも君を守り、支えていくから」と晴來は強く答えた。


その後、二人は夕陽が沈むまで教室で話し続けた。互いの夢や未来の話、そしてこれまでの思い出を語り合った。彼らの会話は途切れることなく続き、その時間はまるで永遠に続くかのように感じられた。




教室の空気は重く、茅雪の言葉が僕の心に突き刺さったままだった。彼女の冷たい眼差しから逃れるように、僕は顔をそらし、何も言えずに立ち尽くしていた。突然の罵倒に混乱し、何が起こったのか理解できないまま、ただ呆然としていた。


その夜、僕は紗夕莉に会いに行った。昨日告白したばかりの彼女は、喜んで僕の告白を受け入れてくれた。紗夕莉は優しくて、僕にとっては救いの存在だった。

そして晴來は彼女の樋上紗夕莉にこのような話をしていた。彼らはカフェの一角で向かい合って座っていた。紗夕莉は心配そうな顔をして、晴來の話を聞いていた。

「晴來君、本当に茅雪ちゃんに会うつもりなの?」


紗夕莉は不安げに尋ねた。彼女の大きな瞳には、深い心配と優しさが映っていた。


「うん、そうだよ。茅雪に話があるんだ。彼女とは幼馴染だから、ちゃんと話し合っておきたいんだ」


晴來は真剣な表情で答えた。彼にとって茅雪は特別な存在だった。どんなに辛い言葉を受けても、彼は彼女と向き合いたかった。


「でも、あんな女に近寄らない方が良いわ。彼女は晴來君を傷つけるだけよ」



紗夕莉は訴えかけるように言った。彼女は晴來を守りたい一心だった。


「紗夕莉、わかってる。でも、茅雪とは幼馴染なんだ。僕は君と付き合うから、茅雪と会う機会が減るって」


晴來の目には決意が光っていた。彼は自分の気持ちを確かめるために、茅雪と向き合う覚悟を決めていた。


「晴來君……」


紗夕莉はため息をついた。彼女は晴來の強い意志を感じ取り、もう何も言えなかった。ただ、彼が傷つくことを心配していた。

紗夕莉は深く息をついた。「晴來くん、茅雪が小さい頃は好きだったわね。でも今となっては茅雪のどこが好きだったのかさっぱりわからないでしょうね。今の茅雪はマゾにしか好かれない顔だけ女よ。」

紗友莉の言葉には少しの毒が含まれていたが、彼女の心配は理解できた。


僕の目には、茅雪の姿が蘇った。かつての可愛らしい笑顔と、最後の冷たい眼差しが交錯する。そのギャップに胸が締め付けられるようだった。


「確かに、小学生の頃は仲良かった。でも、成長するにつれて茅雪の性格が変わっていった。わがままで自己中心的になっていって、最終的にはあんな酷い言動をするまでになっちゃったのね。」

紗夕莉は冷静に語りながらも、どこか寂しげな表情を浮かべた。


僕は目を伏せ、深く息を吐いた。

「それでも、茅雪とは話し合わなきゃいけないと思うんだ。幼馴染みだからこそ、今のままじゃダメだと思う。」


「晴來くん、それは無駄な努力かもしれないよ。茅雪は変わってしまったし、彼女が今更変わるとは思えない。むしろ、彼女の言葉に傷つけられるだけだよ。」


「それでも、話し合う価値はあると思うんだ。僕たちはずっと一緒に過ごしてきたんだし、このまま終わりにするのは納得できない。」


紗夕莉は僕の手を握り、優しく微笑んだ。

「晴來くんの気持ちはわかるよ。でも、無理はしないでね。私たちはこれから一緒にいるんだから、茅雪のことであまり悩まないで。」


その夜、僕は紗夕莉の言葉に励まされながらも、茅雪との過去に思いを巡らせた。かつての友達がこんなにも変わってしまうなんて、信じたくなかった。でも、現実はそう簡単にはいかない。

「ありがとう、紗夕莉。君が心配してくれる気持ちは嬉しいよ。でも、これは僕自身が解決しなきゃならない問題なんだ」


晴來は微笑んで言った。紗夕莉も微笑み返したが、その瞳には未だ不安の色が残っていた。

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