父の心配3
もう嫌な予感しかしないではないか。
普段の危機管理から甘かった。
侯爵家に何かあるとは・・・。
さらに、大神殿の大神官長は、国王と並ぶ権威を持つ。
そんなお方が、何かしらの祝福を得たかもしれないという浅い理由しかない、田舎の伯爵家にわざわざ来る意図は?
やっかいごとしかない。
この方は、味方か、敵か。
蟲の祝福とは、一体なんなのか。
アレクシアはどうなる・・・。
「そう睨むな。わたしはそなたらに悪さをするつもりはない。蟲の前任者と知古で、他の神官より説明が適任だっただけよ。だが、国王は注意した方がよい。あやつは、利用できるとわかれば、最後の一滴まで使い潰すことを考えるだろう」
エッカルト様の言うことは、本当だろうか。
すぐに、姉に連絡を取らないと。
侯爵家に騙されていたような気持ちもあるが、今までアレクシアにしてきてくれたことに裏があるようには思えない。
それにエッカルト様がわざわざ国王の名を出すということは、蟲の祝福はかなり利用されやすいのだろう。
悔しいが、私の力ではアレクシアを守れない。
「そうだな、シャイド侯爵家に、頼るとよい。もう知らせは出してあるから、じきに来るだろう」
・・・どこまでも手のひらの上か。
「一つ、いいですか。神殿に連絡をしたとき、我々はアレクシアに起きたことが祝福なのかどうかもわからなかったんです。なのになぜ、あなた様が来られたのですか?」
「侯爵家からも話があると思うが、簡単に言うと、蟲の神は祝福を途切れさせない変わり神でね。・・・蟲の前任者は、最近身罷った。だから、侯爵家近辺はよくみていたのよ。あとは、祝福を賜った状況が似ていたからか」
虫の発生はアレクシアの魔力をもとにしているのだとか。
アレクシアが3日も目覚めなかったのは、やはり祝福の能力が大きいためとか。
再び気絶したのは、虫の出しすぎで魔力が無くなったからだとか。
知らなかった祝福の原理を、エッカルト様は説明してくださった。