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蟲の君  作者: たま治癒
5/12

はじまり5

いきなり、答えにくい質問だった。

貴族令嬢の普通の返事は、いいえ、だろう。

一般的な令嬢が愛玩する、草木や生き物の中に、虫は入ってない。


明らかに虫って嫌がられる方だよね。

だけど、正直に、とお父様が念押しされたなら・・・


「っん、はい」


かすれたけど、なんとか声が出せた。


「ほぅ。どうして?」


私は虫が好きだ。

いつからかはわからない。

割と単純に、虫がかわいいなと思う。

色彩や姿形とか、動きなんかも。


だから、今の現状も、虫自体は嫌じゃないのだ。

普通に見つけた虫なら、じっくり観察したいくらい。

起きている現象が異常だからこわいんだ。


「もし、自分の好きなものを貶されたら、腹は立たんか?ほら、虫は賛同される類いとは言えんだろう」


う~ん。

気持ち悪いでしょ、と言われれば、気持ち悪さを感じさせるのは何か?と考えるのも好きだ。

相手の言い分に私も納得できるときがあるし。


ただ、外でお茶会なんかのときに、虫が出たのなんだと騒ぐ子がいるときは、色がかわいいな、とか、動きが勇ましいねとか、虫をフォローしちゃう。


あら、確かにそうね。とか、虫を見る目が少し変わると嬉しいし。


お父様たちが、自分の好きなお酒を褒めてもらえると嬉しくなるのと、同じじゃないかな。


拙い言葉でそんなことを言う間、エッカルト様はにこにこされていた。


「・・・アレクシアは、祝福についてどのくらい知っている?」


祝福?


この世界は、多種多様な神様がいるといわれている。


エッカルト様のいる神殿は、生きとし生ける全てを敬うことで、様々な神様から恩恵を得られるとといている。

その恩恵が祝福という形で私たちに与えられるのだ。


祝福でできることは、これまた様々らしい。

ちょっぴり鼻が効くようになるものもあれば、天気がわかるものとか。


ただ、神々は気分屋らしく、祝福を全員に与えるわけじゃない。

老若男女貧富なしに、気まぐれにお与えになられるのだ。


訳知り顔で笑うエッカルト様と、少しひきつり笑顔のお父様。


ん?

・・・え、私の、・・これ祝福?


ドザザザザー!


まとまった虫の雨の隙間から、笑顔で頷くエッカルト様が見えた。







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