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蟲の君  作者: たま治癒
2/12

はじまり2

ぱちっと目を開いた私は、まず「ここはどこ?」と思った。

最後の記憶は、庭で、かなり眩しいな、だったから。


ぽとっ。


ヒヤリとしたものが額にのった。


「あ」


ここは私の部屋だ、と天井からわかり、ふかふかベッドに寝ていると理解した。

次に、水が上から落ちて?と疑問がわいた。

意識が落ちてきたものにむいて、息を飲む。


うご、うごいてる。

何かおでこに!?


そこから凄かった。

お腹の奥がひやっとしたら、ドバッと顔から爪先まで埋め尽くすうごうごが降り注いだ。

目を閉じてしまったから、見えなくてわからないけど、ベッドだけじゃないのかも。

ザザザーと、どしゃ降りみたいな音がしたから。


「むひゃあああぁ~!!!?」


うごうごが口に入るかも、と一瞬恐怖したが、追加でドザザザザー!という音と、痛くはないがまた私に降り積もる何かと、増した体への重みにパニックになった。


最初の悲鳴らしからぬ声の直後に、「お嬢様っ!!」とひと声あり、ガンっと扉が開かれた。

たぶん、護衛のハインだ。

助かった。


「お嬢様ー!えっ、どこ!?お嬢様ぁー!!うぇっ!えぇっ?虫がこんなに?!」


助かっ、るかな?

ハインの、なんでどうして虫がと慌てる声で、やっぱりこれらは全部虫なんだとわかり、私は恐怖と混乱とで体が強張り、動けない。

ハインは埋もれた私が見えず、まだ入り口でキョロキョロしているようだ。


「ハイン!お嬢様が目覚めたのっ?!」


次に聞こえたのは、私のお世話をしてくれている、マーサの喜びのこもった声。

これは助かった!


「っ、ぎゃ~!!!ぎゃあああぁ!!」


ああ、そうそう。

マーサは虫がだいぶダメだったわ。


マーサの止まない悲鳴で、スンッと少し頭が冷えた。


かさかさもそもそする気配がそこら中にある。

その間中も、ザザっ、ボトボトと虫は降り落ちてきている。


私はどうなるんだろう。

何が起きているんだろう。

わからない。こわい。








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