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絵本
陸に揚げられた狼は疲れ果てた様子で、羊達の、二度と羊達に悪さをしないと言う要求を飲み、とぼとぼと、元気の無い足取りで森の奥へ歩いていった。
森に向かって歩いていく狼を見た時、何か思い出せそうな気がした。
夢から覚めて、ベットに寝たままもう一度夢の内容を思い返した。
本当に変な夢だった。よく分からない夢だった。
ただ、夢の中の風景は、昔何回か読んだ絵本に似ていたと思う。特に柱時計はよく似ていた。
(たしかあの絵本まだ捨ててなかったな、本棚にでもしまってあるはずだ)
少し探してみようと思いベッドから起きあがった、その時、床の上のある物に目がいった。
床の上にはこれから探そうとしていた絵本があった。
そんな所に置いた覚えは無いのに。
背筋が寒くなった。
――終わり――