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懲らしめなければ
驚いて目を伏せていると、羊は狼の腹から食べられていた子供の羊を、一匹ずつ引っ張り出していった。十匹近くも羊が腹の中に入っていた。皆血まみれだ。狼の血だけなのだろうか? どうやってそんなにも食べれたのか、想像もつかない。
全員引っ張り出してから、羊達は狼をそこの湖に沈めようと言い出した。
それは可哀想だと僕が言うと、この狼は一度懲らしめなくてはいけないと言い、取り合ってくれない。
羊達は手際よく狼の腹を縫い合わせ、力を合わせて狼を湖に放り投げた。
湖に沈められてから狼はようやく目が覚めたようだが、泳げない所為か、目が覚めたら水の中にいることに驚いた所為か、溺れてどんどん沈み始めた。
このままでは溺れ死んでしまう、そう思い助けようと羊達に言った。
さっきみたいに取り合ってくれないと思っていたら、狼もあれだけ懲らしめればもう悪さをしないだろうと言い、協力してくれた。狼を湖から引っ張り出すのはとても大変だった。