お腹が空いた
驚いて椅子から立ち上がると、壁に掛けてある鏡に僕の姿が映った。鏡に映った僕は、絵本に出てくる様な、二足歩行する恐ろしい狼の姿になっていた。
何故僕が狼になっているのか考えたが、そんな事解るはずがなかった。
訳が分からず、とりあえずもう一度椅子にすわった。
一分程そうして悩んでいたら、途端にお腹が空き始めた。
最初の内は我慢していたが、次第に空腹が耐え切れなくなってきた。
テーブルの上には果物が置いてあったが食べる気にはならなかった。狼になったせいだろうか。代わりにに、無性に肉が食べたくなった。
果物以外に何か食べる物はないか、探そうとして席を立った時、壁際にある机の下から物音がした。
何の音だろうと思い、机の下を見に行った、するとそこには変わった姿をした子供がいた。
まるで人間と山羊の中間みたいな(狼みたいになった自分のように人間と動物の中間の)姿をしていた。
その時の僕は、さっきから続いてる空腹感とぼんやりとした頭の所為で、物事を判断するのがうまくできなかった。
その為、目の前にいる子供を、食料として認識してしまった。
そして、頭から子供を飲み込んだ。