どこ?
とても変わった夢を見た。
その夢は何かに似ていた。
その夢の中で僕は最初に、毛むくじゃらで、大きな体をした狼になっていた。
(ここは何処だ)
目の前にある建物の風景はあまり見慣れ無いものだった。木で造られたとても大きな家、部屋の真ん中にある大きな暖炉、十脚以上はありそうな椅子、古そうな大きな柱時計。窓は三つあり、そこから木がたくさん見えた。家の周りは森のようだ。
いずれも、あまり見た事のない様なものだ。
(ここは何処だ)
もう一度考えてみたが分からなかった。
こんな事は初めてだ。今まで道に迷った時でも、自分がどの辺りに居るのかぐらいは見当がついた、だけど、今はそれすらも分からない。どうやってここに来たのかも覚えてないのだから、場所の見当もつかなくても当然かもしれない。さっきから頭がぼんやりしている、分からないのははそれの所為だろうか。
そんな事を考えている内に、ますます頭がはっきりしなくなってきた。そのせいでうまく考えがまとまらない。
……ここがどこなのか考える気力も失せてきた。
とにかく、落ち着いて冷静になろうと思って、目の前にある家に入らせてもらって一休みする事にした。「すみません」と声をかけるも反応はなく、家の中には誰もいないようだ。
一番手前にある椅子に座り、テーブルに肘をついた。肘をつくのは昔からの癖だ
肘をついた時に変な物が視界に映った。それは茶色い毛で覆われた、毛むくじゃらの手だった。
(何で僕の手が、動物みたいな手になってるんだ