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25「秩序」

「無差別殺人の被害者から臓器提供を受けるのですか?」

「いえ、事件が起きてからでは間に合いません。また、被害を受けた方の死を冒涜するつもりはありませんし、それでは猟奇的な犯罪の抑止になりません」

「では、どうするのですか?」

「そもそも、その様な犯罪を犯す者達には共通項があると考えます。例えば引き籠りだったり、目が死んだ魚の様であったり、目の焦点が合わない、目線が明後日を向いているなどです。過去の猟奇殺人の犯人はいずれもこの中に含まれていると考えます」

「対象者の情報をどの様に集めるのですか?」

「不審者情報を近隣住民から入手し身辺調査を行います。また、同居する家族からも情報を得て対象者を説得し検査入院して頂きます」

「それから?」

「対象者本人の自己攻撃性や他者攻撃性等を検査して、その兆候が見られた場合には入院を継続します。その期間に自殺願望の有無を確かめて自殺志願者には自殺幇助の提案をします」

「自殺願望が無い患者は野放しですか?」

「いえ、時間を掛けてでも自殺を計る様に誘導します。洗脳と言っても差し支えないと思います。そのまま退院させてしまっては無差別殺人を起こす危険がありますから」

「危険人物を淘汰する訳ですか?」

「多くの善良な市民の生命を守る為の必要な処置と考えています」

「それで私にどうしろと?」

「伊達さんには、広報活動に協力して頂けたらと考えています」

「内情を告知する訳には行きませんよね?その上で何をしろと言うのですか?」

「折を見て、自殺志願者のホットライン、ネグレクトや望まない出産をする方の電話相談窓口、不審者や引き籠りなどの情報収集の為の連絡先などを紙面で告知して頂けると助かります」

「断ったら?」

「いえいえ、貴方は必ず協力します。奥様を亡くされた上にお嬢さんまで失ってしまうのは避けたいでしょう?お嬢さんの患者情報は医療関係者に知れ渡っています。我々なら、お嬢さんに手出し出来ない様に見守る事も出来ます」

「脅迫ですか?」

「何方が貴方にとって有意義か、考える必要もないと思いますが?」

「受け入れるしかないのでしょうね」

「我々は新しい秩序を構築し『その命は誰のもの?』と世間に問うているのです」

「SPAREとしての生涯を受け入れろと言うのですね」

伊達は窓の外を眺めながら、行く末を案じた。

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