23「基軸」
「既に、我々の新しい秩序に御理解頂いた臓器移植の待機患者の御家族の皆様を受け入れてランク分けしています」
「ランクとは?」
「今回、伊達さんの娘さんが襲撃された際の心臓移植待機患者の御家族からの臓器移植の成功報酬は2億円でした。おおまかに1億以上の成功報酬を対価として支出出来る御家庭をAランク、2千万から1億未満を支出出来る御家庭をBランク、2千万未満の支出が出来るの御家庭をCランクとしています。対価を支出出来ない御家庭の患者は受け入れません。その患者様には失礼とは思いますが、従来通りに臓器移植ネットワークに登録して移植を待って頂く予定です。我々は富裕層に特化した臓器提供体制を構築しようとしています」
「全てを公表されれば頓挫するのではないですか?」
「いえ、その心配はありません。臓器移植待機患者側からの情報漏洩はあり得ません。そんな事をしても損をするだけで何も得られないからです。臓器移植が間に合わずに無駄死にするだけです。勿論、臓器提供者側にも手厚く対応するので大丈夫です」
「では臓器提供者側への対処を伺いましょう」
「では、先ず一番母数の多い自殺者への対応についてお話ししましょう」
「しかし、自殺した後の遺体では臓器移植は不可能でしょう?」
「ですから、自殺志願者が事を起こす前に対処するのですよ。既に我々は自殺ホットラインを解説して24時間体制で電話受付しています」
「自殺志願者の受け皿になると?」
「自殺志願者の話を親身になって聞き、自殺の衝動を抑えられない方のみ、取り敢えず保護入院して貰います」
「それで?」
「自殺を改心した方は退院となります。どうしても自殺の衝動を抑えられない方にのみ、此方から自殺幇助とその後の提案をします」
「提案とは?」
「このまま自殺しても遺族は公に葬儀も出来ずな密葬の形となり、墓の準備等もあり支出しかなく得られるものが何もない事を告知します。その上で、自殺幇助後の臓器移植に同意すれば、火葬式と合祀墓への埋葬まで病院側が負担すると提案します。また、組織適合判定で高額の対価が支払える待機患者と適合すれば、残された遺族にある程度の遺産を残す事も可能である事を伝えます」
「自殺志願者に受け入れられますかね?」
「此方としても、自殺志願者へ熱意ある好意的な提案をしている自負があります。自殺志願者の方も自分の生きた証を現世に残せた上に、残された遺族への謝罪の意味で遺産を残せるのですから断る理由は無いと考えます」
「レシピエントとドナーの両者にとって有意義な提案だとお思いですか?」
「現在の臓器移植ネットワークでは救えない命を救う最善手であると考えています」
「では、その他の臓器提供者についてお聞かせください」




